◇秋まで判断保留、円安進展で年内現状維持も
加藤出
(東短リサーチ チーフエコノミスト)
日銀は2013年4月4日、「マネタリーベースを2年で2倍にして、インフレ率を2%にする」と宣言して量的質的緩和策(QQE)を開始した。その2年が経過した。空前の大規模国債買い入れ策などによりマネタリーベースは2倍以上になっている。
ところが、日本型コアCPI(生鮮食品を除いた消費者物価指数総合)前年比は、2月はゼロ%だった(消費税要因調整後)。原油価格下落の影響もあるが、総合指数からエネルギーと食料を除いた欧米型コアCPI前年比も、2月はプラス0・3%と低調だ。ちなみに米国の2月の同指数はプラス1・7%である。
日銀は、需給ギャップを反映した賃金の動きに影響を受ける企業サービス価格に着目してきた。同指数の前年比は13年5月までマイナスだったが、14年5月にプラス0・8%(消費税要因調整後)まで上昇。その後は横ばい圏内が続き、この2月はプラス0・6%へ鈍化した。昨年2月は消費税引き上げ前の駆け込み需要で広告費などが上昇していたことを考慮する必要はあるものの、一時期見られた上昇トレンドは今は止まっていると言える。………