◇新たな成長戦略の確立が急務
津村明宏
(電子デバイス産業新聞編集長)
トップメーカーの統合破談という事態に、半導体業界が揺れ動いている。
東京エレクトロンは4月27日、米アプライドマテリアルズとの経営統合を断念すると発表した。半導体製造装置業界における日米トップ企業の超大型再編として注目を集めたが、最終的に米司法省をはじめとする各国・地域からの承認が得られず、解決のめどが立たなかった。2013年9月の発表から約1年半、グローバルイノベーター(世界的な革新者)を目指した両社の試みは幻に終わったが、今回の破談は新たな再編劇の幕開けになるだろう。
会見した東京エレクトロンの東哲郎会長兼社長が破談の理由として挙げたのが「米司法省との認識の相違」だ。経営統合に向けて両社はこの1年半、八つの国・地域で独占禁止法の審査を受けてきた。
だが、今年2月末時点で承認を得ていたのはドイツとシンガポールの2カ国のみ。日本や台湾、韓国といった残りの国から承認が下りていたかは「コメントできない」(東氏)と言及を避けたが、統合のハードルとなったのはアプライドの本拠地である米国だった。
◇半導体メーカーの抵抗
しかし、これだけ顧客に祝福されなかった統合劇は珍しい。破談に至った経緯には、米司法省との認識の相違よりもむしろ、両社にとっての顧客である半導体メーカーからの根強い反対が色濃く反映されたのではないか。………