
◇“悪意”を持つ機械への恐怖
谷口 健(編集部)
「人工知能(AI)が人類の存続に脅威になるか」という議論が欧米で続いている。
物理学者のスティーブン・ホーキング博士は2014年12月、英BBCのインタビューで「完全な人工知能の開発は、人類の終わりを意味するかもしれない」と発言。その後も同様の発言を続けている。電気自動車のテスラ・モーターズ最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏も、14年8月にツイッターで「AIには本当に気をつけないといけない。潜在的には核兵器よりも危険だ」と言及した。さらに、米マイクロソフト創業者ビル・ゲイツ氏も15年2月、投稿サイト「レディット」で「私も人工知能に懸念を抱く側にいる」と答えている。
こうした動きに影響を与えたのが、スウェーデン人の哲学者で、オックスフォード大学教授のニック・ボストロム氏が書いた『スーパー・インテリジェンス』だ。14年7月に出版され、AIの危険性を訴えた。
AI脅威論の背景には、兵器との関係もある。7月、ホーキング博士は、言語学者のノーム・チョムスキー氏やマスク氏など1万2000人以上が署名したAIの軍事利用反対の文書を国際会議で公表した。
米国防総省がテロ地域での無人爆撃機の操縦をAIで自動化する開発を続けているとされるためだ。現在は、米国内からもこの無人機を操縦しており、遠隔操作するパイロットのストレス問題が深刻になっている。
宇宙物理学者で神戸大学名誉教授の松田卓也氏は、「米国政府は世論の99%が殺人ロボットに反対でも作ると言っており、この研究は中断しない。人間が人間に悪意をもつことは常にある。機械が人間に悪意を持つかどうかも人間次第だ」と語る。
◇ハリウッドの世界観
AIが人間を殺す恐怖は、映画では昔から人気テーマだ。代表的なのは...
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