
企業倒産件数が歴史的な低水準で推移している。2015年上半期(4~9月期)の企業倒産は4388件(前年同期比13%減)で、バブル末期の1990年の3070件以来、25年ぶりに5000件を下回った。倒産は景気の遅行指数の一つ。バブル期は不動産価格や株価の上昇で、全国が空前の好景気に沸き、大手から中小企業まで好業績だったため、倒産は例年より少なかった。
だが、今回は中小企業の自律的な業績回復に至っていない。厚生労働省が10月5日に発表した8月の毎月勤労統計調査(速報値)でも、実質賃金は前年比0・2%増と2カ月連続でプラスとなったが、伸び率は鈍化した。肌感覚でも景気回復と乖離(かいり)した状況下で倒産件数は減少しており、バブル期とは様相が異なる。
東京商工リサーチによると、14年の「休廃業・解散」企業は2万6999件で、過去10年間で3番目に多かった。これは、14年の年間倒産9731件の約2・8倍に上る。
「休廃業」は資産超過での事業停止だが、事業継続を断念する点では倒産と同じである。倒産件数と休廃業・解散件数の合計は08年のリーマン・ショック以降、毎年約4万件前後で推移し、中小企業を取り巻く経営環境の厳しさを反映している。
◇業種間では二極化
中小企業の業績は、地域、事業規模、業種によって二極化が拡大し、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」での景気浮揚は足元で揺らいでいる。倒産の減少には、....
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2015年11月17日号
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