
◇知って驚くコーヒー革命
◇2015年11月10日号
川口葉子(ライター)
コーヒー業界でここ数年来、話題となっているサードウエーブ(第3の波)とは、米国で起きた3度のコーヒーブームによって、コーヒーの地位が向上していくさまを、米国の女性解放運動の歴史になぞらえたものだ。
提唱者のトリシュ・ロスギブ氏によれば、第1波は19世紀、コーヒーの大量生産と流通の進歩により米国でコーヒーが家庭に普及した“社会進出”を指す。
第2波は1960年代に始まったコーヒーの味の向上を求める動きと、それを実現したコーヒー店、ピーツ・コーヒーに始まるスターバックスなどのシアトル系コーヒーチェーンによる一定品質のコーヒーの“拡散”を指す。
そして第3波が90年代後半に起こった高品質で個性豊かなコーヒーのムーブメントである。「From Seed To Cup(種からカップまで)」と表現されるように、生産地と栽培・収穫・精製法から、輸送と保管、焙煎と抽出に至るまでの全てのプロセスにこだわり、さらなる風味の向上、およびコーヒー文化の地位向上をはかる。
ただし日本のコーヒー事情は、必ずしも米国と同じではない。街角には自動販売機の缶コーヒー、コンビニコーヒー、さらに国内外のコーヒーチェーンや喫茶店がひしめき、歴史も文化もより複雑だ。(了)