
◇犯罪の抑制を狙う
中島和宏
(JABIシリコンバレー事務局)
「警官とコーヒー」というイベントが、シリコンバレーの中心地サンノゼ市で、10月中旬に催された。その名の通り、警官と地域住民がコーヒーなどを飲みながら、会話を楽しむもの。交流を通して、地域犯罪の抑制につなげたい考えだ。主催はサンノゼ市警察署。
同市は、今や百万都市。これまで安全と言われてきたが、人口の増加に伴い、2014年の統計では犯罪件数は約2万8000件にのぼった。シティデータ・コムの犯罪指標によると、ここ数年で、全米の犯罪件数の平均を超えてきており、特に増加しているのが、空き巣や車上狙いだという。
現地では、日本のような警官による地域の見回りは少なく、交番もない。今回のイベントを通して、警官と地域住民の関係を密にし、相互理解を深めることが目的だ。警官は、地域全体をより気にかけるようになり、市民は、緊急時に警官に連絡しやすくなったり、日常生活における安心を高められたりする。
日本の交番システムを意識したのか、くしくも開催場所は市内の日系人街の一角だった。交番がない同市でも、コーヒーショップならば至るところにある。同署は、同様のイベントを10カ所で展開していく計画で、今後、地域密着型の「お巡りさん」の役目を果たしていくのかもしれない。(了)