
◇2015年11月24日特大号
太田元子
(広州在住ジャーナリスト)
広東省は、女性従業員の労働環境を改善するための独自の省令を検討している。育児や更年期障害などで働きづらい女性の負担軽減を図るのが狙い。中でも話題となっているのが、女性の生理痛がひどい場合に1日の有給休暇を認める「生理有給休暇」だが、医師の証明が必要なことなどから実効性には疑問の声も出ている。
中国では2012年に施行された全国版の「女性従業員労働保護特別規定」で、出産期間中の給与相当額の支給や「流産休暇」などを定めている。今回の省令はさらに、出産関係以外の分野にも踏み込んでいるのが特徴だ。
歴史的に軽工業の工場が多い広東省は、多数の女性工員が働いていることから、働く女性の権利保護に対して中国全土の中でも先進的なエリアの一つとされる。ただ、工場の人員不足が問題となっており、省内で女性がより働きやすい環境を整えることによって「産業の発展につながる」との期待もある。
地元メディアによれば、あるインターネット調査では働く女性の約4割が、生理痛により仕事に差し支えることがあると回答している。広州のアパレル企業に勤める女性(30)は「生理痛で苦しい時は病院に行くこともできない。医師の証明をもらうには半日かかるため、生理休暇は意味がない」と話す。「上司が認めてくれないと思う」などの意見もあり、働く女性の期待はそれほど大きくないのが現状と言えそうだ。(了)
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