
◇2015年11月24日特大号
杉尾直哉(毎日新聞モスクワ支局)
経済停滞に悩むロシアが、主力のエネルギー・軍事産業に代わるハイテクによる産業立国を目指している。モスクワでは10月末、国内外の企業や専門家ら1万2000人を招いたフォーラム「オープン・イノベーション」が開かれ、メドベージェフ首相が「我が国はハイテク立国以外に発展の道はない」と力説した。
会場では人間型ロボットやドローン(無人偵察機)などが展示された。タッチパネルを利用して、顧客が実際に手にした商品情報を集積するシステムを開発した若手企業家は、「ウクライナ危機で欧米から制裁を受けているが、対象は石油・ガスや軍事企業だけ。我々の技術なら問題なく国外に売り出せる」と期待を込めた。
ただ、ロシア政府がどこまで新産業育成に本気かは不透明だ。政府主導で2010年にモスクワ郊外に設置されたテクノパーク「スコルコボ」の総裁で大富豪のベクセルベルク氏は、テクノパークのさらなる造成を訴えた。だが、メドベージェフ首相は「民間への政府介入は有害な場合もある」と消極的だ。世界的な石油価格の低迷で国庫に打撃を与えているのが背景とみられる。
ニキフォロフ通信情報相は「ロシア人は技術開発力があるが、商業化の才能に欠ける」と指摘した。商業化支援の具体策には言及しなかった。 (了)
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