
◇不美人競争の法定通貨
◇機能競争する仮想通貨
平山賢一
(東京海上アセットマネジメントチーフストラテジスト)
ビットコインの時価総額(米ドルで表した発行総額)は2014年に減少したものの、15年には増勢に転じており、取引数は引き続き増加傾向で推移しているという。金融機関が生き残りをかけてフィンテックに注目するようになっているだけに、ブロックチェーン(仮想通貨の仕組みを支える技術)などを基盤とする仮想通貨に対する視線も熱い。
それだけではない。これらの技術は、中央銀行ネットワークを基盤として金融機関が担っていた決済データの蓄積とそのクレディビリティー(信頼性)付与の仕組みを揺るがす可能性もあり、目が離せない。
◇融解する法定通貨
決済機会が限られ、使い勝手が十分とは言えない仮想通貨だが、国家などから独立しているメリットに注目すべきとの意見をよく聞くようになった。多くの中銀が量的緩和政策を実施し、いまだかつてなかったペースで、ベースマネー(流通現金+金融機関が日銀に預ける当座預金)が拡大している昨今、国家から独立した仮想通貨は、希少性があり貴重な存在である。主たる仮想通貨は、発行上限が設定されているため、国家が無尽蔵に発行している法定通貨とは、対極をなすからだ。
金融史をひもとけば、………
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