
◇2020年の飛躍に向け勝負の年
熊野英生
(第一生命経済研究所首席エコノミスト)
2015年の景気は良くなかった。ピークは年初で、その後は現在まで減速が続いている。直近では景気トレンドをつくる鉱工業生産が前月比1・4%と小幅な伸びに終わった。逆に11、12月の予測指数が弱く、景気悪化が16 年初まで継続すると不安視されている。
しかし、16年の景気については、いくつか期待できる点がある。第一にブラジル・リオデジャネイロ五輪の開催。第二に米大統領選挙年による米経済の好調。第三に17年4月に消費増税を控えていることである。その他、北海道新幹線開通、電力小売り自由化、伊勢志摩サミット、参議院選挙などがあり、さらに環太平洋パートナーシップ協定(TPP)発効も期待される。
◇16年度は1・3%成長
最初の注目イベントは4年に一度の五輪開催である。五輪開催の手前で半導体などIT(情報技術)需要が高まるという経験則がある。IT関連財は、16年前半になると五輪を見越して生産が高まるだろう。近年の五輪効果はスマートフォンの世代交代の需要に比べ地味ではあるが、電子部品の輸出拡大は相対的に大きいと見込まれる・・・・
この記事の掲載号
【特集】日本経済総予測2016
<マクロ編>
2016年はGDPプラス成長
アニマルスピリットで市場開拓
<マーケット編>
株価 日経平均2万3000円も