
◇住商ニッケル事業だけではない
(編集部)
「資源安による減損ショック第2波が始まった」(株式市場関係者)
住友商事は13日、アフリカのマダガスカルで進めるニッケル開発事業が失敗し、2015年10~12月期連結決算で総額770億円の減損損失を計上すると発表した。株式市場関係者の間では、住商の減損はこれだけでは済まず、さらに他商社にも波及するとの見方が支配的だ。
減損するのは住友商事が総額24億ドル(約2800億円)を投じたマダガスカルのニッケル事業「アンバトビー」。年産6万トンのニッケルを生産するプロジェクトで、総事業費は72億ドル(約8400億円)。住商は32・5%を出資している。
操業は昨年9月。完工が計画から2年以上遅れ、総投資額が大きく膨らんだ。かねてから「減損必至」と見られていたが、1重量ポンド当たりの直接製造コスト(減価償却と配当を除くキャッシュコスト)を当初の5ドル50セントから4ドル20セントまで引き下げ、90%近い操業率も達成。「製造コストをさらに3ドル台まで引き下げる」(猪原弘之副社長)として、減損を最小化する努力を続けていた。
しかし、足元のニッケル市況は3ドル70セントまで下落。価格低迷が長引くとして投資額の3分の1に当たる770億円の減損に踏み切った。ニッケルの長期市況は、英市況分析会社が9ドル50セントまで回復するとの見通しに対し、住商は8ドル50セントまで引き下げて再計算。ニッケルに限れば「固めの評価」(証券アナリスト)という。
むしろ市場が懸念しているのはニッケル以外の減損だ。住商は………
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