◇政府の恣意的改革の限界
◇ゾンビ企業は生き延びる
松本惇/中川美帆
(編集部)
中国東北部、遼寧省政府傘下の国有企業で、大手特殊鋼メーカーの東北特殊鋼集団(大連市)の楊華董事長(会長)が3月24日に自殺した。資金繰りを苦にした可能性が高い。
同社は28日、この日に満期を迎えたコマーシャルペーパー(CP、社債)が償還できないと発表。発行額は8億元(約140億円)だった。このニュースは中国国営新華社なども報じている。東北特殊鋼には、今回償還できなかったCPのほかにも計63億7000万元(約1100億円)の未償還債券があるという。
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経営者:編集長インタビュー

◇芦田 信 JCRファーマ会長兼社長
◇「難病治療薬の開発に存在意義がある」
JCRファーマは、遺伝子組み換えや細胞培養といった最先端の領域で、医薬品の開発から製造、販売まで手がける。
── 強みは何ですか。
芦田 1975年に創業し、人間の尿からたんぱく質を精製して薬を作りました。酵素やホルモンといったたんぱく質の精製技術が強みです。
その後、主流になった遺伝子工学で開発するうえで、私は研究部門に一つ要求しました。通常は培養の際に牛の血清を使いますが、クロイツフェルト・ヤコブ病などのリスクがあるため、動物由来の成分を使わずに開発してほしい、と。研究部門は見事にやってくれました。第1号が2010年に発売した、透析患者の腎性貧血を治療するための「エポエチンアルファBS注JCR」です。
ワシントンDC

◇車利用の減少目指し石油に課税
◇ガソリン安で効果に疑問符
堂ノ脇 伸
(米州住友商事会社ワシントン事務所長)
環境対策を重視するオバマ大統領は、「21世紀型クリーン交通システム」に関する政権プランを2月4日に公表した。その骨子は、石油1バレル当たり10㌦の支払いを石油会社に課し、これを米国における新たな交通インフラの建設資金に充てようというものだ。
現在、米国で発生する温室効果ガスの約3割は、自動車を含む運輸セクターに由来する。この削減を目標に、石油会社への新たな課税で得られる年間約320億㌦(3・6兆円)を、公共交通機関の充実や、自転車・歩行者を優先した道路インフラの整備、高速鉄道計画の推進、自動運転を含む電気自動車などの開発に役立てたいとの考えだ。