2016年

12月

27日

インテルがつくば撤退 パソコン不況で人員削減

12月末に閉鎖するインテル日本法人「つくば本社」(撮影:週刊エコノミスト編集部) 半導体 茨城県 Intel
12月末に閉鎖するインテル日本法人「つくば本社」(撮影:週刊エコノミスト)

 

谷口 健(編集部)

 

 半導体世界大手の米インテルが「つくば本社」(茨城県つくば市)を年内限りで閉鎖する。同社が進める大規模なリストラの一環。つくば本社は、1981年に設立、開発設計などを担ってきたが、約35年の歴史に幕を下ろすことになった。

 

 インテルは71年に日本市場に参入し、80年代から90年まで日本法人の本社をつくば市に置いた。90年に東京事務所を本社に格上げして、これまで「2本社体制」を敷いてきた。

 

 つくば本社の土地はすでに、物流不動産世界最大手の米プロロジスが約半分を購入し、整備し始めている。残りの半分の土地にはインテルの建物が残っている。「11年の東日本大震災後に耐震補修されており、そのまま次の入居者に手渡すのではないか」(元インテル関係者)ともみられている。

 

 インテル日本法人の広報担当者はつくば本社について「クローズ(閉鎖)すること以外はコメントできない」としている。

 

 つくば本社閉鎖と同時に人員削減も行っている。米国本社は4月にリストラを打ち出し、17年半ばにかけて約10万人いる世界の従業員を最大11%、1万2000人削減すると発表した。日本では、14年12月時点で約510人いた従業員数を約3割、150人前後削減するとみられる。最大で約200人働いていたつくば本社の人員を中心に削減する見通しだ。

 

 同社関係者は「日本で従業員を雇うのは他の国に比べてコストが高く、本社の人員削減水準(11%)より高い削減比率が日本法人に求められているのはほぼ間違いない」と証言する。インテル日本法人の広報担当者は、人員削減について「国別の削減人数は非公表」としている。

 

 ◇部品供給網に影響も

 

 インテルが日本でリストラを進める背景に、国内のパソコンメーカーの動向がある。以前は、東芝やソニー、NEC、富士通などがパソコンを主力事業にし、インテルの優良顧客となっていた。だが、各社は相次いでパソコン事業から撤退・縮小している。

 

 これに比例するように、インテル日本法人の業績は芳しくない。売上高は11年の3834億円から15年には2693億円に減少。営業利益も、11年の148億円から15年には62億円にまで減少している(図)。

 

 こうした市場の変化のなかで、インテル本社は13年、日本法人を格下げした。それまでの日本法人は、米州、欧州、アジア・太平洋に並ぶ4地域体制で、特別扱いしてきた。しかし、13年10月に江田麻季子氏が日本法人社長に就任した同時期に、日本法人を「アジア・太平洋」の下に置き、3地域体制に組織改編した。

 

 リストラの影響はインテルの日本法人内部だけにとどまらない。インテルは、半導体製造装置や関連部品、半導体部材を日本企業から仕入れるなど、日本国内で広くサプライチェーン(部品供給網)を築いている。つくば本社は、半導体や製造装置の試作品作りの一大拠点でもあったが、こうした役割は日本以外で行うことが決まっている。

 

 これまで買い付けていた日本企業の半導体装置や部材などは大きく変えないとみられているが、部材の一部や物流網などのサプライチェーンについては、“日本企業外し”が起きる可能性がある。インテルの脱パソコンの経営方針は日本にも大きな影響を与えている。(了)

 (『週刊エコノミスト』2016年12月27日号<12月19日発売>14ページより全文転載)

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