オプジーボの「次」の薬承認 無償提供で患者囲い込み

米国の製薬会社「メルク」の日本法人「MSD」は2016年12月19日、がん免疫療法薬「キイトルーダ」を無償提供することを発表した。厚生労働省から同日、非小細胞肺がんで承認を受けたものの、販売はまだ先のため、薬を待つ患者の要望に応えた。がん免疫療法薬で先行している小野薬品工業の「オプジーボ」に対し、「全面戦争を仕掛けた」(医療ジャーナリスト)との見方もある。

 

「キイトルーダ」は、9月に皮膚がんの一種「悪性黒色腫(メラノーマ)」で承認を得た。1人当たり年間3500万円かかるとされる高額薬価で問題となったオプジーボについて、薬価引き下げ議論が続いていたため、同社はキイトルーダの薬価収載の申請を見送っている。

 

いずれも非小細胞肺がんに高い効果がある。大きな違いは、抗がん剤の治療に効果がみられなかった患者にしか使えないオプジーボと違い、キイトルーダは治療の最初の段階から使えることだ。

 

12月下旬に開かれた日本肺癌学会で、キイトルーダの「成績」についてのデータ分析が発表された。進行度が高いなど不利な患者に対し、オプジーボより良好な結果だったという。最初の段階で使えるキイトルーダは患者の囲い込みが可能だ。無償提供によって、販売前に医療現場で浸透を図り「オプジーボの息の根を止める」(医療ジャーナリスト)狙いが見える。

*『週刊エコノミスト』2017年1月3・10日合併号「ひと&こと」掲載

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2016年12月6日号『週刊エコノミスト』 

 

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◆免疫療法薬の進化を後押し 日本のベンチャーの創薬技術

◆インタビュー 本庶佑・京都大学名誉教授

 「免疫療法薬でがんが治る時代になる」