2017年

1月

24日

自動運転ベンチャー 上場延期のZMPに試練 出資問題と情報漏えいが痛手

自動運転開発のベンチャー企業、ZMP(東京都文京区)に異変が起きている。

 

ZMPは2016年12月19日に東証マザーズで新規株式公開(IPO)する予定だったが、同月8日に突如取りやめた。さらに、自動運転タクシーの共同開発を15年5月から進めてきたIT大手のDeNAが17年1月6日、ZMPとの提携解消を発表した。

 

異変の発端は、16年5月に起きた顧客情報流出だ。ZMPの顧客情報を管理する電子メールシステムに不正アクセスがあり、「当社が意図しないメールが(略)お客様に送付される」(ZMP発表資料)ことがあった。被害を受けた顧客情報は9124件。さらに11月11日以降に、この顧客情報の一部がインターネット上に流出した。

 

事態を重く受け止めたZMPは、上場延期を決断。情報漏えい防止体制の見直しなどをした上で、上場に向けた手続きを再開するとしている。

 

ただし、ZMPを取り巻く状況は複雑化している。

 

まず、出資の問題だ。

 

ZMPは14年5月から、半導体世界大手の米インテルの投資部門から出資を受けている。IPO時の有価証券届出書によると、株主構成は、創業者で社長の谷口恒(ひさし)氏(約22・5%)に次ぐ2位の大株主(約14・7%)だ。

 

しかし、複数の関係者によると、インテルは出資条件として株式上場を求めているという。インテルは、「個別の投資案件については答えられない」(日本法人広報担当者)とし、ZMPへの出資は1月12日時点では続いていると説明した。

 

ただ、仮にインテルがZMPへの出資をやめ、ZMPの経営陣が株式を買い取るような事態になった場合、資金繰り問題に発展しかねない。

 

有価証券届出書によると、ZMPの流動資産は、預金が約6・6億円、売掛金が約1・7億円。資本金は約5・4億円である。一方、近年の業績は、売上高が7億円を超えて成長しているものの、赤字も増えている。純損失は15年12月期に約6000万円、16年12月期は3四半期までで約2億円に膨らんでいる。

 

 2点目の問題は、情報漏えいを防ぐ体制作りに時間がかかりそうな点だ。

 

社員は12年12月期の15人から、15年12月期には57人にまで増えたが、事業の急成長に体制が追いつかず、情報管理が不十分になった可能性は否定できない。「情報漏えいに対して万全な体制になったと証明するのは難しい」(ベンチャーキャピタル関係者)との見方もある。

 

 3点目が技術だ。ZMPは数年前まで、他社との積極的な協業体制などに優位性があったが、今では「大企業も自動運転技術の力をつけ、ZMPを含めベンチャー企業と組むメリットが薄れつつある」(自動運転に詳しいジャーナリスト)。

 

 さらに、16年3月、取締役で技術開発部長だった三原寛司氏が退社(現在はLIXIL)。ZMPは技術部門の中心人物を失った。

 

“期待のベンチャー”ZMPに試練が訪れている。

(谷口健・編集部)

*『週刊エコノミスト』2017年1月24日号「FLASH!」掲載