伸び続ける航空需要がチャンス 込山雅弘 JALUX社長

Interviewer 金山隆一(本誌編集長)

 

── JALUXとはどんな会社ですか?


込山 そもそもは、日本航空(JAL)が飛行機を飛ばすのに必要な付帯的事業をするために設立されました。一番初めにできたのは、機体やJALの従業員向けの保険事業と、社宅や寮などの不動産事業です。そして、JALの飛行機の中に必要な毛布やイヤホンなどの調達や、機内食、空港の店舗運営へと広がっていきました。


── 事業分野が多様ですね。


込山 会社が成長するに従って、機内の通信販売に関連するということで、ワインや農水産物の輸出入も手がけるようになりました。さらには、JAL向けに取引していた経験を生かして、航空機の備品や航空機そのものの売買も独自に始めています。


── 現在の柱の事業は?


込山 まずは航空・空港関連です。航空事業では、主に航空機エンジンの部品を売っています。一部のエンジンは日本のメーカーが整備を請け負っているものがあり、必要な部品を我々がアメリカの拠点から調達してくるのです。中古のエンジンを買ってきて航空会社にリースしたりもします。航空機の需要は今後20年で1・5倍に伸びるといわれ、エンジン整備などの需要も必ず発生します。


── 空港運営も手がけるとか。


込山 ラオスの首都ビエンチャンのワッタイ国際空港で、国際線ターミナルビルを1999年から運営しています。また、2015年からはミャンマー北部のマンダレー国際空港の運営も30年間の契約で始めました。ビエンチャンの空港はターミナルの中のオペレーションですが、マンダレー空港は航空管制以外はすべて運営しています。


── 東南アジアの旅客需要は伸びているのでは?


込山 17年はビエンチャンでは国際線だけで約138万人、マンダレーは国内線も含め約135万人の利用客で、毎年10~15%は増えています。ビエンチャンは19年に契約期限を迎えますが、日本の企業として引き続き空港運営を受託できるよう尽力しています。海外の空港はどこも運営の民営化が進んでいるので、チャンスは追求したいですね。


── 他にはどんな事業が?


込山 水をかけると1時間で固まる道路補修材(アスファルト)の「マイルドパッチ」を扱っています。道路会社の前田道路が開発し、飛行場の滑走路の修理などにも使用しているものです。海外では「アクアパッチ」という名称で販売し、前田道路から海外展開を委託されています。米国ではアスファルト会社と提携し、全土で販売を始めました。アスファルトを温めなくてもいいので利便性が高く環境にもいい。値段が少々張るのですが、少しずつ実績を上げているところです。

 

 ◇JALブランドを生かす

 

── 空港店舗はどんな状況ですか?


込山 現在は空港店舗「BLUE SKY」(ブルースカイ)を、全国27空港84店舗で展開しています。また、空港免税店舗「JAL─DFS」は成田、羽田に13店舗があります。インバウンド(訪日外国人)に加えて国内旅行者も増えており、これからも着実に伸びる見込みです。
── 中国人観光客が家電などを大量に買う“爆買い”は収まりました。


込山 一番大事なのは、お客さまが何を求めているかを常にフォローすることです。現在は化粧品や酒、タバコ、雑貨などへと変わってきており、販売データを有効に生かしながら、店頭に置く商品を変えて対応していきます。


 実は、空港で売るお弁当を「空弁(そらべん)」と言い始めたのはJALUXなんですよ。


── それは知りませんでした。


込山 子会社の「日本エアポートデリカ」がさまざまな種類のお弁当を作っており、羽田のブルースカイではお弁当の7~8割を占めています。一部の機内食も日本エアポートデリカで作り、現在では空港外の東京駅でも販売するようになりました。また、ワインの輸入にも力を入れています。取り扱うワインの65%がアメリカワインで、高級シャンパンも2種類あります。グレードの良いものをお客さまに提供し、ブランド力を保っていく戦略です。


── かつてはJALの子会社でした。


込山 現在の出資構成は、筆頭株主が双日の22%、JALは21・4%、日本空港ビルデングが8%。JALの子会社ではなくグループ会社なので、JALブランドのグループ力を生かしながらも独自の事業を展開したいと考えています。具体的には、まずはやはり航空・空港関連。特にアジアではこれから物流も増え、航空機への需要が高まります。整備事業で築いた日本のメーカーとの関係を生かし、新しいエンジンなどをアジアに向けて販売していきたいですね。理想としては、航空機のMRO(整備・修理・オーバーホール)事業にも培った経験を生かして入っていければと思っています。


── 今後の目標は。


込山 今期は経常利益で46億円を計画しており、20年度に経常利益80億円の達成を中期経営計画で掲げています。既存事業の拡大と新たな挑戦をもって、さらに上のステージを目指していきたいと考えています。販売力や製造力などを付けるために、卸問屋やメーカーとのM&Aや提携の可能性も追求していきます。
(構成=桐山友一・編集部)

 

 ◇横顔

 

Q 30代の頃はどんなビジネスマンでしたか


A 日商岩井(現・双日)で石炭の輸入を担当し、顧客ニーズ把握に明け暮れました。当時は石油価格が暴騰し、製造業がエネルギー源を石油から石炭へ再シフトしていました。常に顧客が何を求めているかを知ること、人間関係構築の大切さを学びました。


Q 「私を変えた本」は


A 中学・高校の校長だったグスタフ・フォス神父の『日本の父へ』です。人間として、男として、父親としての生き方を改めて認識させられました。


Q 休日の過ごし方


A 運動不足解消のため早足のウオーキングです。
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 ■人物略歴
 ◇こみやま・まさひろ
 1952年生まれ。神奈川県出身。栄光学園高校、上智大学外国語学部卒業後、75年に日商岩井(現・双日)入社。常務執行役員海外業務担当などを経て2016年6月から現職。65歳。
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事業内容:航空・空港関連、一般商事
本社所在地:東京都港区
設立:1962年3月28日
資本金:25億5855万円
従業員数:2437人(2017年3月末現在、連結)
業績(17年3月期、連結)
 売上高:1432億1700万円
 営業利益:40億5600万円