再生から新たな攻めのステージへ 河野雅明 オリエントコーポレーション社長

Interviewer 金山隆一(本誌編集長)

 

── どんな会社ですか。

 

河野 広島県が発祥の信販会社で、消費者向けファイナンスの分野で大きく成長してきました。事業の柱は大きく四つ。オートローン(自動車購入の際の分割払い)やショッピングクレジットなどの「個品割賦」、クレジットカードやカード融資などの「カード・融資」、金融機関と提携して個人向け融資を保証する「銀行保証」、そして家賃保証や売掛金決済保証などの「決済・保証」です。こうしたサービスの加盟店は全国で79万店。当社は47都道府県に営業拠点があるのが強みです。

 

── オートローンは業界トップシェアですね。

 

河野 特に中古車市場では、日本中古自動車販売協会連合会と二人三脚で市場を作ってきました。ただ、その歴史的背景があるからとおごっていてはダメで、常にお客さまの視点に立って新しいサービスを作っていかなくてはなりません。月々の支払い金額や支払い回数をお客さまが自由に設定できる「ニューバジェットローン」を開発し、浸透してきたのがその例です。また、(モノを持たずに貸し借りする)シェアリング・エコノミーが広がっていく中で、(個人向けに車をリースする)オートリース事業も伸びています。

 

── クレジットカードはどうですか。

 

河野 家電量販店などとの提携カードを中心に発展してきましたが、現在力を入れているのは当社独自のカード「オリコカード ザ ポイント」です。高還元率(1%)で、ポストペイ(後払い)型の電子マネーも搭載するなど、商品性は高いと自負しています。今年1月からは、みずほ銀行の会員向け特典サービス「みずほマイレージクラブ」も受けられるカードを、みずほ銀行の窓口でも販売してもらえるようになりました。

 

── 銀行保証や決済・保証事業の特徴は。

 

河野 銀行保証の残高は1兆4000億円くらいあり、これも国内でトップ。全国の地方銀行や信用金庫、信用組合などとまんべんなく取引があります。地域金融機関との対話を重視しながら関係を築いてきた結果です。決済保証は比較的新しい業務で、特に伸びているのが家賃保証。高齢者を含め単身世帯が増え、(個人の連帯保証人が付けにくくなる)民法改正もあって、我々のような保証会社を付ける流れです。

 

 貸金業法(当時は貸金業規制法)改正の影響で、2007年3月期連結決算が4613億円の最終(当期)赤字となったオリエントコーポレーション(オリコ)。債務者が払いすぎた過払い金利息の返還請求に備え、引当金繰入額を特別損失として計上したことなどが理由だったが、17年3月期連結決算は営業収益が2136億円、最終利益が286億円と2期連続の増収増益に。11期ぶりに普通配当2円も実現した。

 

── 復配も実現しましたね。

 

河野 大幅な赤字決算からちょうど10年。緻密な収益管理やコスト構造改革を進め、安定的な収益体質になってきました。復配は株主に喜んでもらえたと思っています。これまでは再生のステージでしたが、これから新しい攻めのステージに移っていきます。

 

 ◇フィンテック情報収集

 

── 日本は現金志向が強い社会と言われ、クレジットカードが使えない店舗も少なくありませんでした。

 

河野 店舗側の意識はだいぶ変わりつつあります。通販などインターネット決済も急激に広がっており、いまやカードが使えないとビジネスができません。政府の「未来投資戦略2017」でもキャッシュレス化の推進が盛り込まれました。20年の東京五輪・パラリンピックもあり、外国人観光客のさらなる増加に向け、カードが使えるインフラを整えるのは国家戦略です。

 

── セキュリティーはどうですか。

 

河野 キャッシュレス化に向けては、データを読み取られるんじゃないかという利用者の不安を解消することが大事。我々はスマートフォンを使った非接触型の決済にはそれなりの技術を持っていると自負しています。さらには、フィンテック(ITと金融の融合)の時代ですから、新しい発想が必要です。昨年12月には米ベンチャーキャピタルと、新規事業開発を目的とするパートナーシップ契約を結ぶなど、情報収集や研究も進めています。

 

── 過払い金の返還の状況と、13年に発覚した暴力団融資問題の再発防止の取り組みは。

 

河野 過払い金の返還は予想よりも減り方が鈍いですが、利息制限法を超える利息の融資残高は10年6月にゼロになり、かなり時間が経過しています。今後は減っていくのは間違いありません。また、暴力団融資問題に対しては、コンプライアンス(法令順守)の強化を含め力を入れて再発防止の取り組みをしています。これには自信があります。

 

── 社長就任2年目です。これからどんな会社にしたいですか。

 

河野 これまで厳しい時代を過ごしてきましたが、これからは社会から評価されて株価もさらに上げていかなければなりません。「お客さまの豊かな人生の実現を通じて社会に貢献する」という企業理念を目指し、さらにお客さまの利便性を追求していきたいと思っています。

(構成=桐山友一・編集部)

 

 ◇横顔

 

Q 30代の頃はどんなビジネスマンでしたか

 

A 1990年代、銀行で人事と企画を担当していました。バブル崩壊から金融危機の足音が聞こえていた時代です。

 

Q 「私を変えた本」は

 

A トム・ピーターズ、ロバート・ウォータマン『エクセレント・カンパニー』です。20代で最初に触れて以降、私の会社人としての原点です。時代は変われど、普遍的な真理が語られていると思います。

 

Q 休日の過ごし方

 

A ジョギングとジムで体をいじめています。52歳が初マラソンで、これまでフルマラソンを16回完走しました。

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 ■人物略歴

 ◇こうの・まさあき

 1957年生まれ。広島県出身。広島大学付属高校、東京大学経済学部卒業。79年第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。みずほ銀行副頭取、みずほコーポレート銀行副頭取、みずほフィナンシャルグループ副社長などを経て、2016年6月から現職。60歳。

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事業内容:個品割賦、カード・融資、銀行保証

本社所在地:東京都千代田区

創業:1954年

資本金:1500億円

従業員数:3658人(2017年3月現在、単体)

業績(17年3月期、連結)

 営業収益:2136億円

 営業利益:335億円