社会課題からエンタメまで「ポジティブなインパクト」の先に=古田大輔・バズフィード・ジャパン創刊編集長

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古田大輔(バズフィード・ジャパン創刊編集長)

 

ふるた・だいすけ◇1977年生まれ。02年朝日新聞社入社。京都総局、豊岡支局、社会部、アジア総局(バンコク)、シンガポール支局長、デジタル版編集などを経て、15年10月から現職。


 BuzzFeed Japan(バズフィード・ジャパン、以下BFJ)はアメリカ生まれのインターネットメディアBuzzFeedの日本版として、2016年1月に創刊しました。現在、日本の編集部は40人を超え、文字コンテンツの読者が月間2000万人超、動画再生回数は月間1億回と急成長を遂げました。国内で、テキストも動画もこの規模に達しているメディアは他にほとんどないでしょう。

 

 扱う内容は、ニュースからエンターテインメントまで。政治や社会問題のシリアスな記事もあれば、お役立ち商品や笑える話題、クイズなどネットならではのコンテンツもあります。

 

 幅の広さに戸惑う人もいますが、我々自身は自然だと考えています。「人々の生活にポジティブなインパクトをもたらすこと」というBuzzFeedの理念に沿っているからです。エンタメで笑ったり、ニュースで学んだり。いずれもポジティブです。テレビ局が報道もバラエティーも手がけるように、新聞に4コマ漫画があるように。

 

 それをデジタル時代の最新の手法で伝えます。読者の多くが使うスマートフォンで見るのに適した形で、文字や動画表現などあらゆるフォーマットを使っています。

 

 創刊編集長の私自身は元々は新聞記者でした。学生の頃からネットが大好きでしたが、02年の入社当時はまだネットメディアは規模が小さく、記者になるために最初に選んだのが新聞でした。新聞社でさまざまな現場を取材できたことは大きな糧となっています。

 

 しかし、年々部数は下がり、特に同年代から下の世代は新聞紙をほとんど読んでいない。そこで、シンガポール支局長を終えて日本に帰る際に朝日新聞デジタル編集部を希望しました。欧米でデジタル技術によって次々と生まれている新たな手法や報道を学ぶうちに出会ったのがBuzzFeedでした。

 

 自社のサイトだけでなく、FacebookやTwitterやInstagram、YouTubeなどあらゆるプラットフォームでコンテンツをユーザーに届ける。若い読者層ともつながるのが大きな魅力だと感じました。

 

 ◇シェアだけでなく行動を促す

 

 誘いを受けて創刊編集長に就任し、新聞社やテレビ、ネットメディアなどから人を集め、成長を続けています。規模を大きくするだけでなく、社会課題の報道にも取り組んでいます。

 

 その一つが情報の検証です。フェイクニュースや不正確な情報に対抗するため、BFJではいわゆるファクトチェックに力を入れています。昨年の衆院選でも政治家の発言からネットの噂(うわさ)まで、その真偽を明らかにしてきました。

 

 DeNAが運営する医療情報サイトWELQ(ウェルク)が不正確な記事を掲載していた問題について、その内部マニュアルをスクープしたのもBFJです。これがネットの情報の質をめぐる議論に与えたインパクトは大きなものでした。最近では性的被害を「自分も受けた」と告発する「#metoo」に関連して、著名インフルエンサー(SNSで影響力を持つ人)のはあちゅうさんが受けた被害について報じたのもBFJです。

 

 BFJは「シェアされるメディア」を目指してきましたが、今年からは新たな目標を掲げています。それは「行動につながるメディア」です。例えば、記事を見て自分も発言する、料理動画を見て自分も作る、旅行記事を見て自分も旅をする。そして、コンテンツをシェアし、議論する。

「#metoo」の広がりが示すように、既にそれは始まっています。さらに加速させていきたいと思っています。

 

*週刊エコノミスト2018年2月20日号掲載