特集:固定資産税を疑え! 2018年5月15日号

今年は3年に1度の「評価替え」 「高すぎる」評価額に要注意

 

 大型連休が終わり、土地や家屋を持つ人や事業者には今年も、市町村(東京23区は東京都)から固定資産税の納税通知書や課税明細書が届いているころかもしれない。納税通知書には「税額」が、課税明細書には課税のもとになる土地や家屋の「価格」(評価額)が記載されている。しかし、この税額や評価額を見て、その計算過程まで知っている人は多くはない。このうち、評価額についての疑問があれば、不服を訴えられるのは3年に1度だけ。今年はその3年に1度の「評価替え」の年に当たる。

 編集部に今年3月、ある手紙が届いた。福岡県のある市に妹が土地を持つ60代の女性からで、妹と二人三脚で土地の固定資産税評価額の不服を訴えた経験が記されていた。2011年11月に女性の母親が亡くなり、母親名義の宅地2筆を妹が相続。土地の固定資産税評価額を調べると、広さ843平方メートルの宅地が「1349万6450円」、209平方メートルの宅地は「265万4277円」となっていた。この評価額をもとに固定資産税額が計算され、合わせて約6万円の税金を妹が納めることになる。

 

 ◇「45万円」の引き下げ

 

 しかし、小さいほうの土地は自動車も通れないほど狭い道路に面している。どちらの土地も、とても評価額で実際に売れるとは思えない。税理士に聞いても、「そんな価格で売れるわけがない」という答えが返ってきた。最寄りの駅からは約1・5キロ離れており、交通の便も良くはない。そもそも、この土地がある市はかつて炭鉱で栄えたが、閉山後は人口流出が続き、土地売買もまばらになっている。


 6年前の評価替えの年だった12年、女性の妹は市の第三者機関である「固定資産評価審査委員会」に、評価額が高すぎるとして審査を申し出た。妹の宅地それぞれについて、「評価額が適正」と主張する市との間で、5回以上にわたり答弁書と反論書のやり取りを繰り返す。1年以上が経過した翌13年9月、評価審査委は妹の主張は認めなかったが、広いほうの宅地の一部に道路と出入りできない段差がある分を加味していなかったなどとして、評価額を45万円引き下げる決定を出した。

 ◇“言い値”で払う税

 

 小さいほうの宅地の評価額は変わらず、また評価額が45万円下がった宅地でも固定資産税額への影響はごくわずか。それでも、評価額に疑問を持って行動を起こしたことで、誤りの修正につながった。ただ、女性は「実際の土地取引よりはるかに高い評価額がつく固定資産税の評価方法そのものに疑問がある」と話す。女性のように「高すぎる」固定資産税の評価額に悩む地方の土地所有者は決して少なくない。


 固定資産税は市町村が評価額や税額を決めるため、納税者が疑問を持たない限り、いわば“言い値”で納めなければならない税金だ。評価額や税額が誤っていても、納税者が自ら気づかなければ、誤った状態が半永久的に続く。納税通知書や課税明細書を見て、疑問を持つことからはじめてみよう。


(米江貴史・編集部)

週刊エコノミスト 2018年5月15日号

定価:670円

発売日:5月7日