特集:変わる!相続法 2018年8月7日号

変わる家族の形を反映 

40年ぶり相続法大改正

 

 約40年ぶりとなる相続法改正案が7月6日、参議院の本会議で可決・成立した。相続法は相続の方法や遺言について定めた民法の相続分野のことで、誰しも今後、必ず関わることになる。

 

 直前の大きな改正は1980年。配偶者の法定相続分(民法で定めた遺産の分け方の目安)が引き上げられ、寄与分(亡くなった人〈被相続人〉に特別に貢献した分だけ相続財産を得る権利)が認められた時だ。

 今回の相続法改正では、「配偶者居住権」(配偶者が自宅の建物に住み続けられる権利)など、いくつかの新たな権利が設けられたほか、遺産分割前でも被相続人の預貯金を引き出せるなど制度も大きく変わる(表)。

 改正項目の多くは2019年7月12日までに施行される(ただし、自筆証書遺言の方式緩和は19年1月13日から、配偶者居住権は20年7月12日までに施行)。

 

 今回の相続法改正の背景について、弁護士資格を持つ大和総研の小林章子研究員は「高齢化する社会の中で家族のあり方が変化し、法律の手直しが必要になったことが改正の大きな理由だ」と指摘する。特に、相続人となる配偶者の年齢が高齢化しており、従来に比べ生活保障の必要性が配偶者は相対的に高まり、子は相対的に弱まっている点だ。現行法では、法定相続分などを除けば、相続人となる配偶者や子はほぼ等しく扱われている。

 

 だが、現在、日本人の平均寿命は、女性より短い男性でも80歳を超えた。高齢になればなるほど、配偶者のどちらかが亡くなれば、遺された配偶者は生活を遺産に頼らざるを得なくなる。そのため、法改正は配偶者への保障を手厚くする方向で議論が進められた。

最高裁判決の影響も


 もう一つ、相続法改正のきっかけになったとされるのが、嫡出子(ちゃくしゅつし)(法律上の夫婦の間に生まれた子)と非嫡出子(法律上、婚姻関係にない男女の子)の相続分をめぐる最高裁判決だ。最高裁が2013年9月、非嫡出子の相続分を嫡出子の2分の1とした当時の相続法を「法の下の平等に反する」として違憲判決を出し、同年12月には嫡出子と非嫡出子の相続分を同等にする法改正案が可決・成立した。

 

 ただ、この法改正によって、非嫡出子の数が多いほど妻と嫡出子の取り分は減ることになる。そのため「配偶者の保護が相対的に下がった」という問題提起が与党内部から出た。今回の相続法改正は、最高裁判決への“揺り戻し”という側面もある。

 

 変わる家族の形を反映した改正相続法。ポイントを理解して使いこなしたい。

 

(大堀達也・編集部)

週刊エコノミスト 2018年8月7日号

定価:670円

発売日:7月30日