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レバレジーズ株式会社 執行役員

藤本直也

http://leverages.jp/
Naoya Fujimoto

大阪大学工学部を卒業後、2014年にレバレジーズ株式会社に新卒入社。マーケティング部、新規事業責任者、経営企画室長を担当したのち、25歳で社内初の執行役員に就任。就任後は人事責任者、新規事業検討室長、経営企画室長を歴任し、現在は全40事業の事業戦略・広告・広報・データサイエンス・プロダクト開発などを統括するマーケティング部の部門長と採用・教育・社内制度を統括する人事戦略室の室長を務める。
2018年度から2020年度まで、中央大学で新規事業、マーケティング関する非常勤講師を務めた。

2005年に創業して以来、18期連続で黒字経営、増収を達成。2022年度には年商888億円を突破したレバレジーズ株式会社。国や業界を問わず、次々と事業を立ち上げており、その業界はITや医療・介護からSaaS、M&Aなど幅広く40以上になる。続々と新規事業を立ち上げながら、会社を安定的に経営できている要因、継続的な成長を実現している要因は何なのだろうか。同社に新卒で入社し、25歳で同社初の執行役員に就任した藤本直也氏に聞いた。

まず、レバレジーズが安定した経営を実現できている要因を藤本氏は「ポートフォリオ経営」にあるといい、今回のコロナ禍でも、そのメリットを大きく享受したという。

「コロナ禍も増収増益を達成しました。ITや医療介護、若者キャリア、海外など、複数の事業領域に収益の柱を分散できており、世の中の変化に対して、会社全体で衝撃を吸収しやすい安定構造になっています。例えばコロナ禍だと、海外事業や若者キャリア事業は大打撃を受けていた一方で、ITや医療領域は特需を受けることができました。業界をまたいでリスクを分散する収益構造だからこそ、この未曾有の状況でも安定した経営が実現できたのではないかと感じています」と胸を張る。

また、レバレジーズが業界/業態をまたいだポートフォリオ経営を実現できているのは、非上場、独立資本(株主やベンチャーキャピタルなどから一切出資を受けず、自己資本の みで経営している状態)を貫いているからだという。「一般的に、外部から資金調達を受けると、短期的な利益を求められます。新規事業を起こしたとしても、短期的な収益化や、既存事業の強みを生かしたものが優先され、新しい業界やビジネスモデルには参入しにくいことが多いのですが、レバレジーズでは、独立資本ゆえに今まで事業を行ったことがない業界や国にもどんどん自分たちの意思で事業を創り出すことができます」と解説する。

実際に、年間数十億円を新規事業に投資し、年間20近い新規事業を生み出す同社は、新規事業の成功率も80%以上だという。

新規事業開発による事業成長を実現できている要因は、「組織戦略が大きい」であるという。特筆すべきは、インハウス組織であり、事業と専門性を2軸としたマトリクス型組織になっている点だ。藤本氏は、インハウス組織とマトリクス型組織を組み合わせることによるメリットについて、「インハウス組織とは、自社内に事業運営に必要なすべての専門性を内製化することです。日本の多く企業では広告は広告代理店、開発はSIerなど、外部に業務発注するケースが多いですが、レバレジーズはすべて社内で行っています。日本では珍しい組織構造なのですが、海外の企業では主流となっています。インハウス化を始めて12年、近年では外資系企業と最先端の共同研究を行ったりと、蓄積されたノウハウによって、専門性の内製化による競争優位性を獲得できていると感じています」と語る。

さらに「マトリクス型の組織構造にしているおかげで、このノウハウを全事業に波及することが容易です。言い換えれば、1事業での成功事例が、他40以上の事業の改善にも影響を与えることになります。結果として、各サービスが競合と比較して、改善スピードが速くなり、継続した成長を実現することができています」と胸を張る。

同社の社員の平均年齢は27歳、50人近くいる事業部長の8割は20代で占められており、20代が安定的な経営と急成長を支えている。

藤本氏は「若手を抜擢することを、不安に思う企業も多いかと思います。しかし、変化の大きい今の時代、誰もやったことがない仕事を常にキャッチアップし、その仕事において一流にならなければ、企業の成長は止まってしまいます。この状況化においては、誰もがその仕事に対しては、新人です。だから、過去の経験が豊富でなくとも、新しい領域について貪欲に学ぶ姿勢や固定観念にとらわれない柔軟な思考力を持つ、若手に任せています」と語り、創業当初から「任せることで人は育つ」という考え方を大切にして、事業成長を加速させている。

安定と挑戦を両立する戦略とそれを現実にする社員。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いのレバレジーズ。藤本氏は「現在、売上高888億円規模の会社ですが、2030年までには4000億円規模まで成長させます。その日本トップクラスの成長を支えるのは、20~30代の社員です。若手が日本トップクラスの成長を実現していくことで、社会の希望をより大きくする存在になりたいです。