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㈱aRc 代表取締役

三宅徹

https://www.arc-h.co.jp/
Toru Miyake

1985年、香川県生まれ。横浜市立大学国際文化学部卒業。新卒でIT系ベンチャー企業に入社。2年後に外資系メーカーへ転職。更に2年後、イベント会社に転職。8年在籍した後、株式会社aRcを起業。

「お客様のゴールを越える」LIVE配信でビジネスの未来を拓く

2020年春に発生した新型コロナウイルス感染症のパンデミックを契機として、ライブ配信が急速に広まり、ビジネスでも活用されるようになった。情報発信にとどまらず、株主総会といった意思決定の場にも広がっている。にわかに脚光を浴びたかに見えるライブ配信だが、10年以上前からビジネス領域でのライブ配信の企画・運営を手掛けてきた人物がいる。株式会社aRc代表の三宅徹氏だ。aRcは、100名を越える経験豊富なスタッフを擁し、医療業界などからの信頼も厚い。これからはオンラインとリアルのハイブリッドが主体となっていくだろうという三宅氏に、企業から評価される理由や今後の抱負を聞いた。

ライブ配信の企画・運営、動画制作・編集会社は数多くあるが、aRcは、医療講習会や採用説明会、株主総会など、企業のニーズに幅広く対応した多様なウェブ講習会のノウハウを持ち、BtoBの顧客が多いのが特徴だ。三宅氏は「年間4000件を超えるウェブ講習会に携わっている経験や、その件数に対応できるリソースが強み」と自負する。

ZoomウェビナーやYouTube ライブなどの汎用プラットフォームにも対応し、配信内容に合わせたプランニングや機材の選定、スタッフィング、当日のオペレーションまでワンストップで提供する。中でも力を入れているのが「接遇」だといい、「例えばセミナーの場合、講師に気持ち良く講演してもらうために、事前の説明から当日の対応、フォローアップまで、専任のスタッフが担当しています」と話す。

三宅氏は、新卒でIT系ベンチャー企業に入社し、2年後に外資系メーカーに転職した。そこからイベント会社に移り、ライブ配信の企画・運営業務に携わる。そのきっかけは、新卒で入社したベンチャー企業で初めての顧客から声を掛けられたことだった。「その人がイベント会社を起業して、『一緒に働いてほしい』と声を掛けられた。以前から尊敬していたので、より近くで働いてみたいと思った」と語る。

全く経験のない業界に入社したため、入社当初は戸惑いの連続だったという。そこを乗り越え、人と人が直接ではなく、画面を通してつながるコミュニケーションの新たな形に可能性を感じていく。8年ほど在籍する間に、新型コロナウイルス禍などにより、以前よりオンラインでのコミュニケーションの形が加速。三宅氏は、自分の力で業界の可能性を拡げていきたいと考え、会社から事業譲渡を受け、2021年4月に起業した。「スタッフも一緒について来てくれました。会社はまだ2年目ですが、事業自体は10年の実績を重ねています」という。

現在、同社の社員はパートタイマーを含め32人だが、パートナーは100人以上で、その多くが10年近く三宅氏と共にライブ配信と動画制作を担ってきたメンバーだ。三宅氏は「このメンバーがaRcの財産」と言い切る。「クライアントの信頼も厚く、配信スキルを5段階で定義している企業から、最高評価の『エキスパート』認定を受けているメンバーも数多くいます。接遇のエキスパートも複数います」という。

評価されるメンバーをどう育ててきたのかと問うと、三宅氏は「私の力ではなく、人に恵まれた」と微笑んだ。「私自身、依頼された業務を受け身でこなすだけでなく、自分の持っている力を最大限発揮すべく、積極的に提案して実行していくことにこだわりを持っています。『常にプロであれ』という心掛けを非常に大事にしています。そういった意識で仕事をする中で、一緒に仕事をしてくれた社員やスタッフが近しいマインドを持ってくれていました」と評価する。

「もっとこうしたらどうか」と高みを目指そうとする三宅氏に、無理に付いてくるのではなく、自然に受け入れ、共に歩んできた。「そういうメンバーに支えられて今があります」と感謝する。

三宅氏が今後力を入れていこうとしている事業の一つは、リアルとオンラインを合わせたハイブリッドなイベントへの対応だ。「昨年までは完全オンラインのイベントが多かったですが、今年はハイブリッド開催がだいぶ増えています。aRcには新型コロナウイルス禍以前からイベントの企画・進行をしていたスタッフが大勢おり、オフラインの現場でも、質の高い仕事に定評があります。ハイブリッドなイベントでも、プロ意識が高く、経験豊富なスタッフがそろう自社の強みを生かせます」と胸を張る。

 

さらに、自分たちのプロフェッショナルを生かした新しい事業として、人材派遣を始めようとしている。「SaaSなどのシステムの導入後、カスタマーサポートへの問い合わせベースでは、ユーザにストレスがかかります。一方で、サービス提供側は『もっと使いこなしてほしい』という思いがあります。導入先に一定期間常駐して、活用と定着までを丁寧にフォローします」といい、イベント制作で培ったマニュアル作成と活用のスキルを買われ、既に企業から声掛けがあるという。三宅氏は「新しい事業でも、お客様の目指しているゴールを越えたい」と前を向く。