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株式会社プログリット 代表取締役社長

岡田祥吾

https://about.progrit.co.jp/
Shogo Okada

1991年生まれ、大阪出身。大阪大学卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インコーポレイ テッド・ジャパンに入社。日本企業の海外進出、 海外企業の日本市場戦略立案等、数々のプロ ジェクトに従事。2016年9月に共同創業者と株式会社プログリットを創業し、代表取締役社長に就 任。2022年9月、創業6年で東証グロース市場に上場。

英語学習のサポートを通じて、日本人の可能性を広げたい

学生時代から英語学習に多くの時間と教材費を費やしていても、思った以上の効果を実感できない人は多いのではないだろうか。株式会社プログリットの岡田祥吾代表取締役社長も英語学習に苦戦した一人だ。そんな彼は現在、自身の経験を生かし、英語学習のサポートサービスを提供。創業から7年目の今、受講生が1万5千人を突破したことから、いかに需要があるかということがうかがえる。「英語を話せることで、活動の幅を海外まで広げることができる」と語る岡田氏にサービス開始のきっかけ、サービスの特徴、今後の展望について聞いた。

大学卒業後、大手コンサルティングファームに入社した岡田氏だが、入社時から既に 起業することを考えていた。あるとき家事代行サービスを思い付き、論理的に分析した結果、利益が上がる市場であることが分かり、約2年半務めたタイミングで退職した。しかし、資金 調達を始めても、在職中に磨いたプレゼン力も投資家の心には響かず、厳しい現実を目の当たりにして、家事代行サービスでの起業はあきらめた。「裏を返せば、その程度のことであきらめるということは、事業 を立ち上げられたとしても継続できなかっただろうと思います」と振り返る。そこで方向転換を決意して、共同創業者と話し合い、何度困難にぶつかろうとも情熱を持ってやり続けられる事業は何かを考えたところ、英語学習に行き着いた。サービスを考える際に、日本人の英語力が上がらない理由を徹底的に考えた結果、二つの答えにたどり着いた。一つは教材や勉強法が多すぎて、適切な方法を選べないということ。もう一つが継続する難しさだった。その二つに焦点を当て生み出されたのが、英語コーチングの「プログリット」だった。

「プログリット」と従来の英会話スクールとの違いは、英会話レッスンをするのではなく、一人一人 の受講者にコンサルタントが付き、自学自習をサポートするということだ。「英会話スクールの場合、週に1日通うとすると、残りの6日間は関与されません。私たちはむしろ、その6日間の使い方 こそ重要であると感じています」と話す。自宅や通勤時間中に、どの分野をどのように勉強するの か、すべて管理するのがコンサルタントの役割だ。英語力があることはもちろん、コーチングスキ ルと問題解決能力を兼ね備えたコンサルタントは、「私たちのすべて」と岡田氏は力説する。その コンサルタントが、受講者の目的、習得度、ライフスタイルに合わせて勉強法をカスタマイズし、週 に一度の面談と日々のサポートで進捗を確認するという手厚さが支持を得ている理由だ。学習は主にプログリット が作成、運用しているアプリを利用し、一日当たり2~3時間の学習を 3カ月間繰り返す。「英語力を上げるだけでなく、生活習慣や生き方を見直し、人生を変える3カ月にしてほしい」と 受講生にエールを送る。

「プログリット」以外に、もう一つ提供しているのが、サブスクリプションサービスの「シャドテン」だ。リスニング力の向上に効果的なシャドーイングに特化したサービスで、「プログリット」で使用しているアプリの一つを取り出し、提供している。「英会話で最も重要なのはリスニングです。聴くことができないと、会話が成立しません」と話す通り、岡田氏自身もシャドーイングの効果を強く実感していた。受講生からも卒業後もシャドーイングのアプリを継続して使用したいという要望が多数あり、一般公開するに至った。2023年8月までには、スピーキングに特化したサービスを新しく提供開始する予定だという。「私自身、昔は英語学習に苦労しましたので、できない人の気持ちがよく分かります。当社のサービスを利用して、『おかげで人生が変わりました』という受講生の 声を聞くと、自分のことのようにうれしく思いますし、受講生をサポートしてくれたコンサルタントの ことを誇りに思います」と笑顔を見せた。

今後の展望として、法人営業の人員体制を強化し、拡大余地の大きい英語研修市場における シェア拡大を掲げている。日本経済に影響を与え、世界における日本のプレゼンスを上げるため には、大企業にサービス提供をする必要があると考えているからだ。「社数を追うよりも、インパクトに重点を置いています。どれくらい成果を出せるかにフォーカスをしてやっていきたい」と意気込んだ。社会貢献活動にも意欲的だ。2022年11月には、学校法人立命館、アシックスジャパン株式 会社との連携事業を開始。3社が連携し、世界での活躍を見据えた3名の学生アスリートに、英語コーチングサービスの受講と米国での短期留学を行うプログラムを提供する。

「若い頃から海の向こうを視野に入れたアスリートを育てることで、キャリアの幅が日本に収まら ず、世界でも活躍できるようになると考えています」という。将来的には英語学習の分野にとどまら ず、世界で活躍できるビジネスパーソンの育成を担う企業に成長することが、岡田氏の目指すプログリットの在り方だ。