1986年、宮城県生まれ。2010年4月、あずさ監査法人に入所し、会計監査、IPO支援等に従事。2018年10月、株式会社Macbee Planetに入社し、管理部門の立て直しから内部管理体制構築をリード。2019年3月に取締役就任後、約1年で東証マザーズ上場(現・グロース市場)を達成。2021年12月より代表取締役社長就任
革新的マーケ手法で業界に変革を
革新的なインターネットマーケティング事業を展開する株式会社Macbee Planet。公認会計士の資格を持ち、監査法人で働いていた千葉知裕代表は、IPOの責任者として入社し、わずか1年半でIPOを達成し、代表取締役に就任した。「世界をけん引する企業を目指す」という千葉代表にその思いを聞いた。
千葉代表は高校生の頃、「社会のルールを理解していることが、この社会で勝ち抜くための武器になる」と考え、法学部に進学。在学中に公認会計士に合格し、2010年に資格を生かせる大手監査法人に入職した。ところが当時は、2008年のリーマン・ショックのあおりを受けて、満足にキャリアを形成できず、もどかしさを抱えていたという。
元々、事業会社で挑戦したいという気持ちがあった千葉代表は、「上場に近い会社」を目指して転職活動を始め、MacbeePlanetに出会った。「2015年に設立された非常に若い会社で、上場する気持ちは強いが、資本力もなければ、人手も足りない。そんなところにやりがいを感じた」と語る。
2018年にIPO責任者として入社した千葉代表は「個々の能力と社内のモチベーションは高く、一丸となって業績を上げれば、上場できるという意識はあった。しかし、審査の対象となる社内管理体制はまるでなっておらず、組織としてうまく機能していなかった」と振り返る。そこで、外部メンバーとIPOの実務を担当し、管理部門を中心に、審査対象となる社内管理体制を整えた。一般的に3年かかるといわれる上場を、目標としていた1年半で達成。「この状況から目標の期間内に達成できればと考え、ワクワクした。無事に上場できた時はうれしかった」と笑顔を見せる。
Macbee Planetでは、インターネットで販売促進や集客、知名度向上を目指す企業に対し、消費者が生涯でどれだけ利益をもたらしてくれるかを示す「Life Time Value (顧客生涯価値=LTV)」 を予測し、適切なプラットフォームと消費者への広告配信を提案。そして、「ROI(投資利益率)」の最適化を実現するというコンセプトで市場を開拓している。その上、同社のLTVを指標としたマーケティングは、成果報酬型広告で顧客が効率よく成果を得られるため、需要が伸びやすく、千葉代表は「インターネット広告市場を変革する可能性を秘めており、Macbee Planetの魅力だ」と自信を見せる。
インターネット広告市場は景気の良し悪しを問わず毎年10%以上成長し、約3兆円規模の市場だという。一方で、ユーザーの「数」に着目し、「質」を重視していない点が市場における課題だと千葉代表は指摘。広告配信の内、約40%はターゲットにならない消費者へ配信され、広告費が無駄に消費されているという。この現状について千葉代表は、「LTVを指標としたマーケティングを進化、深耕することで、社会から不要な広告を減らしたい」と語る。
同社ではまず、広告主にとってどのようなインターネットユーザーが潜在的な優良顧客か予測。次に広告を配信し、最終的にユーザーを情報につなげることを目指している。潜在的に情報を欲しているユーザーに広告を提供し、情報を欲していないユーザーには提供しないサービスの実現が同社の目指すゴールだ。千葉代表は「消費者の検索行動から、長期間愛用できる商品やサービスの広告をピンポイントで届けられれば、企業は無駄な費用をつぎ込む必要はなくなり、消費者も有益な広告だけ注目する。このようなインターネット広告を打ち出し、社会にインパクトを与え、世界を牽引する企業を目指す」と強調する。
また、LTVを伸ばすため、Web上でChat BOTなどのデジタルコミュニケーションツールを用いることで優れた送客が実現可能と説明。送客した後は成果報酬型となっており、広告主にとってリスクが小さいビジネスモデルを採用している。
同社を経営するに当たって千葉代表は「最終的なゴールをイメージしながら努力を惜しまず、結果にこだわることが大切。個人が裁量を持ってプロフェッショナルとして活躍できるように力を尽くし、正すべきところは正す。そして相互理解を目指す」としている。
今後は、LTVマーケティングでインターネット広告市場を転換していくという。「現在のところ、当社の事業は金融と美容業界に強みを持っているが、LTVマーケティングは他の業界にも通用する」と主張。LTVマーケティングを他業種でも展開し、加速させていく方針だ。経営戦略については、主にプロダクト戦略と営業戦略に分けており、LTV の向上と発展、データ解析、コンサルティングのIT化を目指している。一方で今後の課題について、「今まで人が介在して行ってきたデータの解析やコンサルテーションをAI化することで労働生産性をさらに高めていきたい」と語る。
インターネットの発展と浸透により情報過多が指摘される昨今。必要とする情報だけがユーザーに届けば、情報のパーソナライズが進み、ストレスフリーにもつながるだろう。ユーザーにとっての利便性と広告のコスト削減による相互利益を目指し、同社は挑み続ける。