無料で職業教育を受けて、就職先のあっせんしてもらえる求職者支援訓練制度だが、就職先が決まらずに卒業していく求職者も多いのが実情だ。株式会社Hang in thereはそんな課題を解決するため、求職者を支援し、企業によりよい人材を紹介するプラットフォーム作りに取り組んでいる。さらに2024年1月から、全くの異分野であるDXコンサル事業への挑戦も始めた。光輝真弥・代表取締役は「幸せに働ける環境を手に入れるチャンスがある」と語る。
求職者に幸せに働ける環境を、企業によりよい人材を
無料で職業教育を受けて、就職先のあっせんしてもらえる求職者支援訓練制度だが、就職先が決まらずに卒業していく求職者も多いのが実情だ。株式会社Hang in thereはそんな課題を解決するため、求職者を支援し、企業によりよい人材を紹介するプラットフォーム作りに取り組んでいる。さらに2024年1月から、全くの異分野であるDXコンサル事業への挑戦も始めた。光輝真弥・代表取締役は「幸せに働ける環境を手に入れるチャンスがある」と語る。
15歳から営業職に就き、23歳で個人事業主として貴金属販売事業を立ち上げた光輝氏。
28歳になった頃に、既存事業を撤退したタイミングでふらりとハローワークを訪れた。求職者職業訓練の案内に興味を引かれ、3カ月コースを受講した。しかし、卒業時に半数近くの受講生の就職先が決まっていなかったため、いろいろな職業訓練所を調べたところ、どこも同じような状況で、厚生労働省によれば、業種によって差はあるものの、令和2年度の求職者職業訓練受講者のうち就職先が決まった割合は60%前後だという。
そんな現実を目の当たりにして、「スキルを身に付けるという意味では、誰にでも平等に門戸が広く開かれている。ただ、求職者が本当に必要としている〝就職というゴール〟が足りていない。」という問題意識を抱いた。その問題意識と培ってきたビジネスセンス・飲食、美容関係の人材紹介ノウハウがリンクした瞬間、「求職者に“入口から出口”まで一気通貫で提供できる、そんな事業を展開したいと思った」という。そして、2021年から大阪で職業訓練校を開始。株式会社Hang in thereを設立し、求職者のための入口と出口の創出と企業の人材不足解消に乗り出した。
国から求職者支援訓練を委託されている同社では、求職者のための入口として、美容関連ではネイリスト、IT関連ではウェブデザイナーやグラフィックデザイナーになるための教育を無料で行っている。各業界の著名な人々を講師として招き、講演会では生きた知識を伝授してもらえる。そして、教育した人材に出口としての就職先を紹介するのが「ヤギナビ/ヤギナビビューティー」だ。これは、光輝氏の長年のキャリアで培った独自のネットワークを生かした就職支援サービスで、非公開求人数が多いのが特徴で、月200人以上の人材支援をしている。
「『自分にはできない』『どうせ無理』と悲観的になっている若者が多いんです。自分の実力を客観視できていなくて本当にもったいない」といい、そんな若者たちを鼓舞するため、一人一人の特性やスキルを評価し、直々にアドバイスしている。「元々がおせっかいで、『情けは人の為ならず』じゃないですけど、就職支援した人とその後もつながっていければうれしいです」と笑顔を見せた。
新たな取り組みとして、法人・個人事業主向けのDXコンサルティングサービス「デジコモ」も開始した。企業では、業務の改善・管理のためにITツールが活用されているが、導入済みのツールの機能に気づかず、次々に新しいものを導入してしまいコストがかさむケースが多く、デジコモでは、ツール同士の機能の重複を解消し、コスト削減や新たなツールの提案を行っている。
そもそも、デジコモは同社の社員の一人が発案し、光輝氏がその挑戦を支援したものだ。「失敗したらやめればいいだけですから、リスクなんてありません。何でも挑戦したらいい」と言い切る。
15歳からビジネスを始め、人よりも多くの挑戦をし、失敗と成功を繰り返してきた光輝氏は「昔から好奇心が旺盛で、何でもやってみたいタイプ。自分でやったらどうなるのか、どんな化学反応が起きるのか楽しみ」と挑戦への原動力を明かす。
ネイル業界は、求職者支援訓練で教育を受けた後の就職先が少なく、労働環境のよい職場となるとますます倍率が高くなり、就職できる可能性が低い。そんな労働環境不足を補うため、Hang in thereは、2024年4月をめどに求職者の新しい出口となるネイルサロンを開店、介護福祉関係の学校も設立予定だ。また、ウェブ・ネイル関係の支援学校を全国展開し、「ヤギナビ/ヤギナビビューティー」の提携企業も増やすことを目指している。当面は、求職者の入口と出口を完成させつつ、企業の人材不足の助けになるような人材を育てることに注力する予定だという。
光輝氏は「高い能力を持っている人・良いサービスを持っている企業がミスマッチを起こしているのがもったいない。どんな人でも、幸せに働ける環境を手に入れるチャンスが平等にある。その支援をしたい」と力強く語った。