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一般社団法人国際ラーメン協会 代表理事

藏本猛Jr

https://international-ramen-association.co.jp/
Kuramoto Mamoru Jr

神奈川県出身。1996年、27歳で父親の経営するゴルフ場の社長に就任。社長生活を通じて、ゴルフ場で人気だったラーメンに注目。研究が実り、製品化を果たす。2010年に開業、その後直営店を15店舗まで拡大した。2014年、ラーメンプロデューサーとして活動開始。プロデュース実績は400店に上る。出店場所設定から開店までワンストップでサポートするほか、海外出店の支援も行う。

「失敗しない」ラーメン店プロデュースで地方創生

会社員から転身し成功した事例をメディアで取り上げられることも少なくないラーメン店だが、開業に悩む人も多い。一般社団法人国際ラーメン協会は、加盟者(パートナー)のオリジナルラーメン店をプロデュースし、さらに開店場所の選定から、メニュー制作、店舗内装、宣伝までシームレスなサポートを行っている。「失敗しない確率、つまり成功する確率を高めてから出店する」と語る藏本猛Jr代表理事に成功の秘訣を聞いた。

藏本氏は「ラーメン店開業には、フランチャイズ加盟という選択肢もあり、ブランド名を使用できる点やノウハウを提供してもらえることで開業時から優位に立てるのが魅力だが、経営の自由度は低く、ロイヤリティーや加盟金の継続的な支払いも発生する」と指摘する。

「修行しなくても店を持てるようにする」という考えの藏本氏は、「ラーメンの味をプロデュースし、それを工場で作ってお店で簡単にオペレーションできるようにする」ことが理想だという。また、「オーナーが従業員をトレーニングする必要がなく、アルバイトや外国人労働者の方でも簡単にオペレーションできるようにしたい」といい、飲食店に興味があって仕事が落ち着いてきたサラリーマンでもお店を持てるというように、物件探しからワンストップでコンサルティングを行っている。自身もラーメン店を開業した経験から、「最初の頃は出来上がったラーメンが常に同じではなく、出来のいい日とあまりよくない日がありました。こういった状況ではいずれお客さんは来なくなってしまうので、誰が作っても同じ味に出来上がる方がいい」と修行不要なスタイルの強みを語る。

藏本氏は直営店を15店舗運営していたが、麺とスープを自分から購入することを条件にして、無料で店を譲渡した。すると、麺とスープの販売利益で手元には生活できるほどの資金が残ったという。「元々は店を増やそうとがむしゃらに努力してきたのですが、こういう方法もあるのだと学びました」と振り返る。

さらに、知り合いから「自分のラーメン店を見てほしい」と声がかかり、手伝いに行って、いくつかアドバイスをすると、その店が食べログの1位を取った。藏本氏の指導で食べログの評価が上がるという話が広がっていき、さまざまな所から依頼が来るようになったといい、「これならコンサルティングで食べていける」と確信した。

青森の漁港付近で、かつお節や煮干しなどだしの材料を売っていた店からラーメン店を始めたいと依頼された時、候補地を数カ所リストアップしてもらった中で、藏本氏がベストだと思ったのは、一番ありえないと思われていた近くに港しかないコンビニ跡地だった。家賃が8万円と安く、車10台分の駐車場付きだったことから、「絶対にこの場所で開業するべき」と提案した。実際に開業すると月商は500万円にまで上ったという。

藏本氏は「直営店を15店舗持っていましたが、成功したといえるのは数店で、失敗もありました。その経験があるので、クライアントには失敗させたくない。ですから失敗しない確率、つまり成功する確率を高めてから出店させます」と語る。

今後地方創生に取り組んでいきたいという藏本氏は「ご当地ラーメン、つまりは地方オリジナルラーメンを作りたい。だし専門店のだしや各地域の特産品を使ったメニューにすれば、それが町おこしになる」といい、特産品と組み合わせたご当地ラーメンを作ることは観光の呼び水となり、「観光客に地域の特産品を食べてもらって喜んでもらえれば」と語る。

また、「作りたいラーメンがあったとしても、メーカーや工場によっては実現できないということ。理由としては生産をメインにしていて開発に注力していないからです。しかし、僕が現在お付き合いさせていただいている所はさまざまな食材を使った組み合わせができます」と自信を見せる。

そして、日本のラーメンの海外進出も視野に入れているが、「多くのラーメン店が行っている海外チェーン展開と目指しているところが違う」と強調する。「ローカライズされたラーメンの味を地元の方はおいしいと思って食べていますが、本物の日本のラーメンを広めたい。外国の方にもそのおいしさを伝えていきます」と力を込めた。