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アイティアスリート株式会社 代表取締役

中村 学

https://www.itathlete.co.jp/
Nakamura Manabu

いまや生活に欠かせないインターネットの通信環境を設計、構築しているのがネットワークエンジニアだ。ネットワークエンジニアとして20年超のキャリアを持つアイティアスリート株式会社の中村学代表取締役は「エンジニアを幸せにしたい」と独立起業した。技術者集団をつくり、全国各地のエンジニアの雇用創出にもつなげたいと意欲を燃やす中村代表に聞いた。

エンジニアが幸せに働ける会社は作れた。その先、新たな挑戦へ

いまや生活に欠かせないインターネットの通信環境を設計、構築しているのがネットワークエンジニアだ。ネットワークエンジニアとして20年超のキャリアを持つアイティアスリート株式会社の中村学代表取締役は「エンジニアを幸せにしたい」と独立起業した。技術者集団をつくり、全国各地のエンジニアの雇用創出にもつなげたいと意欲を燃やす中村代表に聞いた。

オフィスビルの建築時や企業がオフィスに入居する際、絶対に必要となる通信環境の設計、構築を行うのが、ネットワークエンジニアだ。中村氏が起業を考えたのは、そのネットワークエンジニアとして20人の部下を持ったときだった。

「会社が一気に拡大したため、エンジニア個々の希望とは異なる仕事を割り振らなければならなくなり、エンジニアが不幸になっていく様を見ていて、嫌になってしまった」と振り返る。そこで「技術者集団を作りたい。同じ方向を向いて仕事ができる会社を作れば、エンジニアも幸せになれるはず」と考え、会社を設立した。

ネットワークエンジニアは人手不足で、中小企業のニーズにまで手が回らないのが現状だという。「大企業の依頼にも応えられるだけの技術力で、依頼先がなく困っている中小企業も支えたい」と思いを語る。

エンジニアが幸せに仕事ができる会社であり続けるために中村氏が意識したのは、「餅は餅屋」だった。「『技術者集団』を『モノづくり専門の人間』と定義し、設計構築に特化しています。必要なメンテナンスは別会社をご紹介することで、質の高い仕事ができる状況を維持しています」と技術者集団として高い品質を維持することも重視している。

ネットワークの構築では「業者に構築してもらったものの、通信速度が遅くてとてもじゃないが使えない」とか、「自分たちでメンテナンスできると聞いたのに、いざやろうとしても専門的過ぎて何もできない」というトラブルも多いという。中村氏は「社員が増えた場合、これをつなげば簡単に対処できます」などと事前に伝えておいたり、品質を重視するために、必ず2人以上のエンジニアが対応し、設計内容を第三者目線でチェックして、品質を担保したりするようにしているという。通常エンジニア1人で担当するため、案件規模を問わずチームで対応するのは珍しいという。

中村氏は「エンジニアが幸せに働ける、その先」を考えるようになったという。「人間、幸せな状態が当たり前になると、さらに満たされたいと思うようになるもの。エンジニア人生の幸せについて、さらに考える日々が続いています」

直近で力を入れているのは、生成AIだ。ChatGPTのβ版が登場した際、ユーザーとして使ってみたのがきっかけだったという。「これはすごいなと思いました。考えたことを生成AIにインプットすれば、手を動かすことなくやってくれる。楽になるために使いこなしていこうということで、ツールづくりなどに生かしています」と期待する。

だが、生成AIの登場により、自分の仕事が取られると思ったり、セキュリティー面での不安を持つエンジニアもいたという。「生成AIも未完成ですから、そこを補うために必要なのが専門家であり、そこを目指そうと伝えています。今後は、生成AIに興味を持っているお客様に対し、我々の事例を参考にしてもらいながら、使い方のアドバイスを行う仕事も新たにしていくつもりです。セミナーも行い、普及活動をしていきます」と語る。

中村氏はネットワークエンジニア業界の人材について、「IT人材が不足している中、特にインフラをやりたいエンジニアは少なく、さらにネットワークエンジニアを志す人は極めて少ない。守秘義務が発生する仕事が多いために情報が外に出ず、IT業界の人でも、そもそもネットワークエンジニアが何をやる仕事なのか理解されていない部分がある。そのため、新しい人が入ってこず、私がこの世界に入った20年で変化がほとんどなかった。定年間近の人ばかりになっているため、今後ネットワークの設計構築ができる人が激減する恐れがあります」と警鐘を鳴らす。

ネットワークは仕事に欠かせないインフラだ。中村氏自身は「ビルオーナーやテナント企業、ビル設計会社など、さまざまな人と話しながら組み上げていく仕事に楽しさを感じており、その面白さを伝え、裾野を広げるべく、外に向けた発信をしていきたい」と語った。