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株式会社Central&Mission 代表取締役

西澤裕倖

http://central-mission.net/
Nishizawa Hiroyuki

1988年、大阪府吹田市出身、甲南大学マネジメント創造学部卒業。2011年、大学在学中に携帯販売事業で起業。その後、プロの心理カウンセラーに師事し、潜在意識の書き換えを専門とした心理セラピストとして活動を開始。心理セラピストとして活動後、2018年、株式会社Central&Missionを設立。一般社団法人日本カウンセリング協会代表理事

人生の使命に気づくカウンセリング哲学を世界へ

メンタルヘルスが重視される時代になり、カウンセリングは以前より身近なものになったが、株式会社Central&Missionの西澤裕倖・代表取締役もカウンセラーの一人として、家庭や人間関係の問題、恋愛やお金の悩みから、数千人の会社の経営の立て直しまでさまざまな相談を受けてきた。どんなに複雑な問題も短時間で解決に導くことができる独自のカウンセリング技術について、西澤氏に聞いた。

西澤氏がカウンセラーの道を歩み始めたのは13年前。妻が産後うつになったのをきっかけに、カウンセリングや心理セラピーを本格的に学ぶようになった。

一般的なカウンセリングは、月に一度の「傾聴」をベースに年単位の時間を掛けて進めていく。相談者は丁寧に話を聞いてもらうことでその時は気持ちが軽くなるが、根本的な解決には至らず翌月も同じ悩みを抱えたままでいることが多く、西澤氏は傾聴で終わらず、相談者の人生をより良い方向に導くためにはどうすればいいのか、模索するようになった。その中で、人の「潜在意識」に着目、「誰もが人生の使命を持っています。心に葛藤を抱える方は、親との関係や過去のトラウマ、社会的通念など様々な要因で本来の使命を見失っている状態です。潜在意識の深層にあるものを追求することで、その要因が見えてきます」と語る。

要因を取り外すことで使命が明確になった相談者は、それまで抱えていた問題から解放され本来の自分らしく生きることができるようになるという。西澤氏はこの手法に量子力学や心理学、脳科学を組み合わせて体系化し、独自のカウンセリング技術を確立した。それまで年単位の時間を費やしていたカウンセリングは、わずか20分程度で解決の目途がつくようになったという。

西澤氏自身も、この技術に救われたことがある。長い間すれ違いが続いていた妻との関係が改善したのだ。西澤氏の場合、過去の出来事に要因があることが分かり、そこにアプローチすることで状況が激変した。夫婦のわだかまりが解消すると、子供まで意欲的で前向きな性格に変わっていったという。子供の中で何らかのメンタルブロックが外れたことで、本来やりたいことをできるようになったようだ。西澤氏はこの体験でカウンセリング技術に確信を持ち、多くの相談者に実践するようになった。

大企業の経営者から、伊勢神宮の神主、上場企業幹部、芸能人、医者、サラリーマン、OLなど幅広い層から相談を受け、「あなたのおかげで人生が変わりました」と感謝されるようになったが、おごりや慢心はないという。「自分の能力で解決したわけではないのだと肝に銘じています」と話す。

ある相談者の親子関係の相談で、問題の根が深く、自身のメソッドを用いてもなかなか解決に至らなかった時、伊勢神宮に出向き、祈る思いで「どうすればいいでしょうか」と念じたところ、インスピレーションが降りてきたのを感じた。ほどなく見えない力に導かれるように解決の糸口が見え、相談者の悩みは解決した。「何とかして相手を助けたいという思いだけが奇跡を起こすのだということを、育成中のカウンセラーたちにも常々話しています」と語る。

カウンセリング事業と並行して西澤氏が注力しているのが、国境を越えた教育活動だ。大学時代には、教育のあり方を変えるために学生と政治家をつなぐ活動をしていたこともある。7年前、海外ボランティアとして国連本部に出向き、子供たちにSDGSを教える機会に恵まれた。西澤氏は「最初は自信がなく大人しかった子たちが、一週間後には聴衆の前で見違えるように堂々と世界平和を訴え、会場はスタンディングオベーションに包まれたんです。子供たちの可能性が開花した瞬間を見た気がして胸が熱くなりました」と振り返る。

現在は非営利団体を立ち上げ、日本と海外の学生達が一緒に世界平和を考えるプロジェクトを展開している。19年にはエジプト・カイロ大学、23年にはスリランカ・ケラニア大学で、日本語を学ぶ現地の学生と日本人学生との交流を行った。ディスカッションのほか、悪臭漂うごみ山で働く子供たちに会いに行くなど、社会問題を自分の目で見て考える機会も設けた。治安の悪い地域でのこうした活動は当然、危険を伴う。西澤氏は事前に何度も現地を視察し、万が一テロや暴動が起こった際の動線や病院へのルートまで想定したという。

「リスクはありますが、日本がいかに恵まれているか気づくきっかけにもなりますし、逆に日本にはない良さを知ることもできます。文化も言葉も違う遠い国ともつながることができるのを若者たちに肌で感じてほしい」

カウンセリング事業と教育活動という二つの軸に共通しているのは、人の可能性を広げ、人生を自分らしく歩む手助けをするという点だ。今、西澤氏の育成したカウンセラーが全国の企業に派遣されている。今後も質の高い人材を育成し、カウンセラーの活躍の場を増やしたい考えだ。また西澤氏も、SNSや執筆、講演活動などを通じて心の問題を解消するための情報を発信している。いずれ、自身のカウンセリング哲学を世界に広めたいという。

教育活動でも、プロジェクトを実施する地域を増やしていく予定だ。「世界にはいろんな活躍の場があることを若い子たちに知ってほしいですね。自分の歩む道を自分で決めるきっかけになれば」と話し、この取り組みで世界各国の若者たちがつながることも願っている。「自分の友人がいる国を攻撃しようとは思わないでしょう。つながりがあれば、戦争は起こらないはず」将来、西澤氏がつなぐ世界中の若者たちがリーダーとなり、世界平和を実現するかもしれない。