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P&Gジャパン合同会社 社長

ヴィリアム・トルスカ

https://jp.pg.com/
Viliam Trska

スロバキア共和国出身。1996年、スロバキア共和国のP&G営業本部に入社。2009年にチェコ・スロバキア法人代表を務める。2016年にはP&Gジャパン執行役員となり、マーケットストラテジー&プランニングとホームケア事業代表を兼任。2023年3月、P&Gジャパン合同会社の社長に着任し、現在に至る。

企業の成長の鍵は人材の能力の最大化

洗濯用洗剤や消臭芳香剤など、生活用品で数々のヒットを生み出してきたP&Gジャパン合同会社。消費者の生活の向上を目指し企業努力を重ねてきた。50年以上の歴史を持ち、今もなお進化し続けている理由をヴィリアム・トルスカ社長に聞いた。

P&Gのイノベーションの出発点は深い消費者理解。消費者インタビューや消費データの分析により消費者理解を深めている。また、そのイノベーションを支えるのはグローバルな研究開発体制だ。研究所は世界に13カ所、研究開発投資は全世界で年間約20億ドルに上る。最新のテクノロジーを活用し、それぞれの国や地域ごとにきめ細やかに製品設計を行い、市場で展開。「グローバル規模の最新テクノロジーとその市場ごとの消費者ニーズの視点を組み合わせた製品を開発をすることで真のイノベーションを生み出せる」という。

約70カ国に事業拠点を持ち、製品を約180カ国以上で販売している同社。32か国の国籍の社員が働き、女性管理職の割合も38%に達するP&Gジャパンでは、人材の多様性や社員一人ひとりの個性を受け入れ尊重するインクルージョンの考え方を重視している。職場環境のダイバーシティを促進する根底には、「自社内に多様性があるからこそ、世界中の何十億もの消費者を理解し、高品質な製品を提供することができる」 という考えがある。

トルスカ氏は「社員一人一人の能力の最大化が企業の成長につながる」と考えた。各社員に大きな裁量権を持ち、オーナーシップを発揮しながらプロジェクトを推進することが期待される。社内関係者を巻き込んでいく場面も多く、常に成長が促進される」と語る。

また、「研修が何よりも優先される」という文化の下、eラーニングを含め、数百の研修プログラムが社内で周到に設計されている。具体的で実践的なものが多いため、社員は研修内容を身近なものとして捉えることができるという。また、グローバルな環境で世界に通用するビジネスパーソンに成長してもらうために、海外駐在の機会を多く設け、さまざまな価値観やビジネス文化に触れさせている。

トルスカ氏自身もこれらの豊富な成長の機会に触れてきたといい、「仕事を通じて、元上司や同僚、社外のビジネスパートナーなど、非常に多くの刺激的な人たちに出会いました。当社では常に能力向上やスキルアップが求められており、数年で新しい役割を担当しますが、その度に周りの人たちから受けたアドバイスやフィードバックがベストな成果を出すことを後押ししてくれました。そのような経験があったからこそ、自分で想像していた以上に成長することができたと感じています」と語る。

そして「今後も持続的に事業成長を遂げ、日本市場や社会に貢献するためには、人材こそが最も重要な資産であるからこそ、人材育成に注力していきます」と強調する。

トルスカ氏は幼少期を独立前の社会主義国の一部であったスロバキアで過ごし、「選択肢が少なかったからこそクリエイティビティーが身に付きました。高校時代にはエンジニアリングを学んだことで“なぜ”を追求する好奇心を養うことができました。大学時代はビジネスの基礎を学びました。振り返ると、幼少期から学生時代の経験が、リーダーを担う上での土台になったと考えています」と振り返る。

「好奇心は常に自身の成長を加速するための鍵となります。ビジネスにおいて新しい仲間や他国の市場や文化について学ぶことも、好奇心があるからこそ、より深く意味あるものにすることができます」と説く。 また、「社会は絶えず変化しており、その変化をとらえた上で成果を出すためにも、常に成長の意欲を持ち、学び続けることが、これからの時代で活躍するために大事なマインドセットです」と語る。