2002年、株式会社山中建設入社。2004年に二級建築士、2012年に一級建築施工管理技士を取得した後、2013年に専務取締役就任。2016年、一級建築士を取得。2023年、同社代表取締役就任。
山中代表は2002年の入社以来、実務に携わりながら資格を取得し、キャリアを積み上げてきた。今では代表取締役として同社を牽引しているが、たゆまぬ努力の上に現在があるという。「当初は先代社長の息子という目で見られ、周りから名前で呼ばれないこともありました。まず自分自身を認めてもらうことから始めるべきだと考え、何事にも何倍も一生懸命取り組んできました。やがて、周りの人々も私を一個人として見てくれるようになりました」と振り返る。
また、「現場に出ていたころは統括という立場でした。自分ではハンマーを振らず、1平米の仕事をしているわけでもない。現場の方々の専心的な働きがあるからこそ、1平米の仕事が10平米、20平米の仕事になっていくことを肌で感じましたね。だからこそ私は統括として、現場にいる皆が仕事しやすいように注力していました」と振り返る。
山中代表は自身を「人に認めてもらえてこそ人の上に立てる。みこしの飾りのようなもので、皆にかついでもらわなければただの置物」と例える。「誰に対しても感謝の気持ちを常に忘れず、支え合っていきたい。周囲の人々が山中建設に携わって良かったと思える経営をしていきたい」と力を込める。
さらに、山中代表は業界全体の発展と持続可能性を追求し、業界のネットワーク組織「ReaRize Network(リアライズネットワーク、以下R2N)」の構築に注力している。業界で志を共にする仲間たちと会社の垣根を超えて情報共有を行い、不必要な価格競争を防ぐことが目標だ。そして、適正価格で案件を受注できる環境を整えることで、各建設企業の経営改善につなげる狙いだ。
山中代表は「ある会社では仕事が多すぎて忙しい一方、別の会社では仕事がないという状況も多々見られました。仕事が少なければ、価格を下げてでも仕事を取りにいく。一方、仕事が多ければ、価格を上げてでも職人を確保する。そのような構図を問題視していました。R2Nとして情報共有を行えば、それぞれの企業が適切な価格で受注できる上、安定した仕事の供給につながるはず」と発足の背景を説明する。
R2Nの取り組みにより経営が改善されれば、職人の適正賃金にもつながり、労働環境が向上する。環境が整備され、魅力ある業界には人材も流入するため、昨今の労働力不足解決の一手にもなる。業界の未来を思い、山中代表はR2Nの輪を広げるべく奔走している。
現在、R2Nは約500人前後の職人が携わっている。「最終的には『困ったときはR2N』と信頼される存在になることが理想」という。そのためには、志高い仲間たちの輪を広げることが重要だ。「自分や自分の会社がよければいいのではなく、周りのために努力し合えるような仲間が増えればR2Nは発展する。次世代のためにも、ワクワクするような魅力ある業界にしていきたい。次世代が楽しく豊かに過ごせるように、しっかりR2Nを形作っていきたいです」と山中代表は意気込む。
次世代のため、業界のため駆け回る山中代表。そのモチベーションの源は「成功体験の積み重ねは大きなモチベーション」という。「時には失敗を経験することもありますが、失敗したからこそできることもある。そのようなチャレンジ精神や前向きさが小さな成功として積み重なり、結果的によかったと思うこともあります。焦らず着実に種植えをし、芽が開けばいい。同時にあきらめも肝心で、同じことをしてうまくいかないなら、反省を生かして別のチャレンジをすればいい。そういった繰り返しが今の私を形作っています」と笑顔を見せる。
事業において着実な種植えをこなし、取り組みを広げてきた山中代表。そんな中、同社においても新たな芽吹きが生まれている。「4月に初めて高校を卒業したての新卒が入社することになりました。フレッシュな新社会人を迎えるためにも、私たちも改めて心構えをしなければと思っています。面接ではその方に、協調性をもってコミュニケーションすることは、相手のためだけではなく自分のためにもなると伝えました。また、相手の立場に立ち、相手に寄り添って応える気持ちを忘れないでほしい。常に感謝の気持ちを忘れずに、お互いに支えあえる輪の広がりを今後も大切にしていきたい」と微笑む。