1979年、大阪府出身。同志社大学を卒業後、不動産業界で社会人生活をスタートさせる。数年間にわたり自社分譲を中心としたキャリアを積み、2010年、文京住販に入社。2015年から代表取締役に就任。
文京区の不動産を扱って19年の地域密着企業
文京区の不動産市場で、独自の立ち位置を築き、存在感を示してきた文京住販。文京区とその隣接区のみを対象エリアとし、創業から対象エリアを変えずに19年半事業を続けてきた。特定のエリアに限定して物件の売買を取り扱っている会社は珍しいという。
「インターネットのおかげで物件を扱う不動産会社はいくらでもエリアを広げることが可能になっています。しかし文京区は教育環境の良さに象徴されるように、不動産的な内容だけでは計れない要素が物件の購入に大きく影響しているため、創業以来このエリアにこだわり、知見を蓄積してきました」。
周辺環境が物件購入の大きな要因となる文京区で同社が重要視するのは地域の情報の収集と共有だ。全社員で社内SNSを使って情報を共有。担当間で情報の格差が生じるのを防ぎ、チームで高いサービス水準を維持している。
地域企業として商圏エリアを文京区およびその周辺区に限定してきた同社が、2023年10月には恵比寿に新たな拠点を新設し、都心・城南エリアでの物件の取り扱いをスタートした。
「分譲されている事業者さんは文京区に限らず広いエリアを扱っており、これまで弊社と文京区でお付き合いしてきた事業者さんとこれまでと同様のお付き合いができていることが私たちにとって強みとなっています。文京区と同様に、都心・城南エリアの未公開物件が続々と入ってきていますので、買いたい人につなぐお手伝いができたらと思っています」と語る。
不動産のプロが売却をサポート
そんな同社が現在注力している事業領域の一つが、不動産の売却のサポートだ。一般的に市場に供給されてくる物件は買い手がつきやすいように新築であったり、リフォームが施されて加工がされていたりすることが多い。不動産オーナーにとって、所持している物件がそのままでも売れるものなのか、それとも加工をしないと売れないのか判断が難しい側面がある。
不動産の売却こそ担当者の力量が試されることから、同社の売却事業では売却サポートを担当する人間を業界歴10年以上かつ有資格者に限定している。さらに手厚いサービスでオーナーを支えるのが特徴だ。
「我々に物件を預けてもらえれば、2年間の設備保証を付けることができます。設備保証の付いた物件として買主の元に届くとすれば、買主はもちろん、オーナーにとってもいざというときに負担が軽くなる。私たちが物件を市場に出し、取り扱う量が増えれば増えるほど市場に対して会社名やサービスの認知の機会が増えてプロモーションの効果を得ることができますので、売主に還元する意味を込めて、売却のサポートを通常手数料の半額で行っています」と力を込める。
「買い手がつくのだろうか」と不安に思うオーナーに寄り添い、負担を少なくしながらより良い売却への道をつくる。地域企業として歩んできた文京住販だからこそ相手の立場に立った仕事がそこにある。
積み重ねてきた信頼で築く、自社分譲
一村代表が15年前に入社してからスタートした自社分譲も、今は主力事業へと成長した。文京区とその周りのエリアを積極的に扱っており、さらに今後は都心・城南エリアでも取り扱いを増やしていくという。
世の中の不動産検索サイトで、一つの物件を複数の不動産会社が取り扱うのと対照的に、自社分譲の物件は基本的には自社発信でのみ情報が公開される。その情報量が増加すると、他の不動産会社との大きな優位性につながり、顧客にとっては他には出回らない貴重な情報を持つ会社であると認識されるようになる。自社分譲や売却を通じて希少性が高い情報提供を増やす狙いもそこにある。
「周辺の住民や企業の認知のもと、未公開の情報が集まってきますので、文京区エリアで間違いなくトップシェアを取れていると思います。一般流通してない希少性の高い情報を独自で発信していくことで、有意義な情報発信をしてくれる会社であると、消費者の信頼獲得につなげてきたことがこれまで強みのため、これからも注力していきたい」と胸を張る。
地域に密着して不動産業を展開してきた文京住販。取り扱っているのは、実際に人が住む「実需不動産」がほとんどであるという。そのために、「そこに住むとどのような生活が待っているか」を具体的に想像する顧客のために、「地域への成熟・洞察」を大切にしてきた。同社が運営する不動産情報サイト「住まいSOL」で毎月更新される「東京ライフスタイル探訪」では、これまで蓄積してきた地域の魅力的な生活情報を発信し、実際に住んだらどのような日々が待っているか、楽しく想像させる記事となっている。
「その地域の魅力を掘り下げることを意識して行っています。この業界にいる私たちでも、日常的な仕事に追われていると、やっぱり通り過ぎていくこともありますので、時間をかけて意識的に情報を集めています。そこはこれからもこだわっていきたいですね」と力を込める。
扱う不動産がどのような街にあり、そこでどんな暮らしが待っているか。住む人の目線に立って情報発信する文京住販。ただ単に商圏エリアを拡大することはなく、いつも地域とそこに住む人への思いを欠かさない。重ねてきた信頼関係が、今後の営業エリア拡大にも力を発揮することだろう。