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合同会社FIELD 代表社員

山本祐也

https://field.asia/
YUYA YAMAMOTO

1983年生まれ。静岡県藤枝市出身、東京理科大学大学院にて量子力学を研究後、まちづくりのためのカフェの開業その後、大手不動産会社を経て大手人材会社のエンジニアとして従事。年間10億規模のビジネスの創出を経験、アジア4カ国でのオフショアの拠点作りにも注力。2014年、合同会社FIELDを創業し、WEB制作、マーケ、事業創造を請け負う。その後、中国、ベトナム、タイにて開発拠点の子会社を設立。

 生成AIを活用して、新しいビジネスを生みだそうとする動きが各所で始まっている。生成AIを組み込んだプロダクト開発もその一つだ。山本氏は「生成AI系のAPIが開放されてから、各社が一斉にビジネスソリューション×AIの開発に取り組んでいます。特許関係もまだこれからですし、申請して特許を取ることをも視野に入れながらソリューションを送り出しています」と明かす。現在AIプロダクトを生みだしているFIELDは、創業以来、新規事業創出を事業の柱にして成長を遂げてきた。

 「顧客がゼロから新規事業を創出したいというときに、基幹システムやWebサイトの企画から開発、保守・運用、さらに広告運用・SNS運用・SEO対策などのWebマーケティングを受託してきました。ゼロから携わって、年間約10億のビジネスに成長したことが何度もあり、その成功を実現するノウハウには自信があります」と胸を張る。

 山本氏は前職で海外に業務拠点を構築するオフショアづくりに携わった経験を生かし、中国、ベトナムにて開発拠点の子会社を置く。ベトナムではSEOの研究所を作り、SEO理論の実質的標準となるアルゴリズムを解明した。

 「研究自体は10年前から個人的に続けていましたが、現地のラボで始めたのは6年前で、どのワードでも大体好順位を取れるようなったのは2年前からです。世の中のSEOコンサルの方が語らず、かつ検索しても出てこない効果が出る施策があり、それを取り入れるだけですぐに順位が上がるのです。簡単な機能付与もありますが、皆さん意外と気づいてないことですよ」と笑顔を見せた。

 企画からシステム開発、SEO対策などグロースマーケティングをトータルサポートしてきた同社がAIプロダクトを開発し、グロースマーケティングの効率化を行うようになった転機があった。ある日、社員がAIを使ってレッドオーシャンでも高順位を取れるSEOメディアを一瞬で作れるプロダクトを7〜8割完成した状態で持ってきた。山本氏は驚き、その挑戦を後押しして完成度を高めていった。

 「このプロダクトによってSEO対策の効果を上げるまでに約1年、数千万円もかかるようなプロジェクトでもすぐに完了できる。記事を生成AIで提供する企業は他にも数社ありますが、サイトそのものが生成され、さらにSEOで強くなる要素を入れて記事を自動作成できるのは弊社のサービスだけです」と胸を張る。

 また外注すれば1カ月かかるようなランディングページ(LP)を5分で生成するAIプロダクトの開発にも成功した。「LPの自動生成においては、画像からLPをつくるというところに各社注力していますが、私としてはHTMLブロック単位からAI化は始まると考えています。そのため、HTMLブロックレベルでLPを生成するという仕組みでも特許を取得しました」と語る。

 AI技術を取り入れたこれらのプロダクトが、グロースマーケティングに革新をもたらすようになった。「各セグメントに必要なソリューションをAIによってより効率を上げて低コストで実現する。それがグロースマーケティングに携わってきた弊社が、今実現していることなのです」

 AIを取り入れたビジネスで時代の先読みをしている同社だが、ずっと変わらず一番大切にしているのは社員のことだと言う。「誤解されるかもしれませんが、顧客よりもまず社員のことを大切に思っています。社員のことを考えて、皆で一緒に成長していくことで、顧客により良いサービスやプロダクトを提供できると信じているのです」と言い切る。

 さらに社員の好奇心を起点に、アイデアが形になっている同社。社員のあらゆる提起や試みを歓迎している。例えば、デザイナーから「ウェブの色問題に決着をつけたい」と話があったという。ウェブはこのロゴならこの配色だと決まってくる要素があるが、コントラスト比の問題があるため配色を理論化することが非常に難しく、他社の事例をみたり、ブランドカラーから見てこれだと思うとか、世の中のデザイナーは事例や感覚で決めている場合が多いという。デザイナーは、配色を迷うことなく決定できる理論を出したいと提案した。「この提案から具体的な製品化につながらなくても、顧客への提案のときに、『御社はこのカラーコードですのでこの配色がベストです』と言えるようになるだけでも受注につながることもありますので、社員のこのような提案はありがたく、大切にしています」と語る。

 社員が面白い、この事業を支援したいと思うことを重視する同社。その好奇心と挑戦を指針に、成長を続けている。

 経営層に向けたビジネスグロースの講演会など、登壇機会も増えてきた山本代表。ある講演会では、登壇後、同じく登壇したエンジニアや代表から商談の日取りをその場で求められたという。「同じ業界にいますから、同業者ならこの方はどのくらいご存じかというのは大体察するので、それゆえだと思います。私としては、『何でも聞いてください』と伝えていますし、任せていただければと思います」と自信をのぞかせる。

 AIに向き合い、たゆまず努力を続けるのはある考えからだと語る。「意思決定者の理解の限界がそのビジネスグロースの限界だと思っています。そのため、どの領域でも最先端の技術や精度の認識、ノウハウの認識を怠らないように心がけています。そうすることで私の周囲の人が同じように成長し、グロースできると信じているのです」

 創業10周年を迎え、成長を加速させていく「FIELD」。社員への思いを中心に据え、最先端のAIプロダクトを開発し、グロースマーケティングの効果を最大限にするその取り組みに今後も注目したい。