オンラインで総合型選抜対策
リザプロ代表取締役 孫辰洋 2025.12.22
年々増え続ける総合型選抜。学生それぞれの興味関心を探求していける学部を紹介し、希望校合格に導く。(聞き手=永野原梨香・ライター)
2019年から総合型選抜(旧AO入試)対策のためのオンライン塾を運営しています。総合型選抜は「学力を多角的に評価・判断し、大学が求める学生を選抜」する入試方式で、大学・学部によって必要な知識や課外活動などが異なります。
当社は卒業生へのヒアリングや各大学・学部への取材などから、求める学力や人材像を把握。その情報と、受講生の学力、興味関心などをマッチングし、知識を深め探求できる学部の紹介と、対策支援をしています。これまでに、累計2000家庭の大学合格を支援。現在の生徒数は、小学4年生から高校3年生まで、約1000人です。
高校1年生の受講生の場合、まずは、受講生と家族、社内研修・試験を突破した当社の講師でオンライン会議を開催。好きな科目や興味関心事、日々の生活についてヒアリングし、おおよその目標校と「高校生活で何をするのか」を決めます。そのうえで、「高校1年生で英検2級を取得」「高校2年生までに興味のある大学教授の論文を確認」など、合格までのマイルストーン(中間目標地点)を定め、対策を始めます。
1家庭に1人の講師が付き、週2回のオンラインでの個別指導、AIアプリなどを組み合わせた学習スケジュールを作成し、「さぼれない環境」を作り出します。英文法などの細かな疑問には講師が対応し、英作文などはAIアプリで即時採点し、合格点になるまで繰り返し練習します。
もし、受験資格に留学経験が必要なら留学先を紹介し、プログラミングの知識が必要ならプログラミングスクールを紹介するなど、当社でカバーできない部分は、他社とライセンス契約を結びながら、合格を目指します。
2024年度の大学入学者中、総合型選抜による入学者は約16%。学校推薦も合わせると全体の約50%になりました。ですが、総合型選抜・学校推薦の情報は、更新頻度が高く情報量も膨大なため、高校の先生方は入試要項を把握しきれていない。そこで、25年7月、高校教員専用の推薦入試指導支援システム『未来図 for School』の運用を開始。先生方が、無料で最新の入試情報や合格事例を入手できる仕組みです。
25年夏には、「総合型選抜入試についての教員向け説明会」を全国5都市で開催し、約200校の先生方が参加しました。26年も開催予定です。

スイスのような教育立国に
私は茨城県の中高一貫校から、総合型選抜で早稲田大学の4学部に、そして清華大学(中国・北京市)に合格し、早稲田大学政治経済学部に進学。将来、教育に関わる仕事をしたかったので、まずは家庭教師をしようと、受講生を募集しました。すると、「総合型選抜の情報を知りたい」という生徒ばかりが集まりました。このことが、今の事業につながりました。
私は日本をスイスのような教育立国にしたい。人口減少社会では、付加価値の高い人間を生み出していかなければ、経済は成長しない。そして、治安が悪化せずに人口を増やせる方法は、教育しかないと考えています。
====================
企業概要
事業内容:オンライン塾運営。推薦入試に特化した教育メディア「未来図」の運営
本社所在地:東京都新宿区
設立:2020年6月
資本金:500万円(25年11月末時点)
従業員数:73人(同時点、パート含む)
====================
■人物略歴
そん・たつひろ
2000年、埼玉県出身。2019年4月、早稲田大学政治経済学部入学、23年3月、卒業。19年、自身の総合型選抜(AO)の経験からオンライン家庭教師サービスを開始。20年6月、オンライン予備校事業「リザプロ」を設立。累計2000家庭の受験生の総合型選抜対策にあたってきた。著書に『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』(ダイヤモンド社)など。
====================
週刊エコノミスト2025年12月30日・2026年1月6日合併号掲載
孫辰洋 リザプロ代表取締役 オンラインで総合型選抜対策
