中小企業の廃業危機を防ぐ

NYC代表取締役 中塚庸仁 2026.02.16

 存続が見込める中小企業に投資し、経営を軌道に乗せる支援をしている。(聞き手=和田肇・編集部)

 後継ぎ不在などで廃業危機にある中小企業の事業存続を支援する投資事業を行っています。私たちの事業は次のような仕組みです。主にM&A(合併・買収)仲介会社などから対象となる中小企業を紹介してもらいます。そして、その企業の株式をほぼ100%、当社に譲渡(子会社化)してもらいます。次に当社から社長を送り込み、収益を伸ばしてもらいます。この期間がだいたい5年ぐらい。収益が向上し経営が軌道に乗ったら、その会社を大きな企業や同業他社に売却します。その売却によるリターン、子会社期間中の弊社へのリターンなどが、私たちの主な収益となります。私たちが手掛ける中小企業の規模は、売り上げ規模がだいたい1億〜50億円ぐらいの範囲で、業績の伸びが期待できる企業を対象にしています。もちろん対象企業を選定する際には、業績以外にもコーポレートガバナンスやコンプライアンスなどを徹底的に調べます。うちには元銀行マンのスタッフもいますのでしっかり見ます。

 後継社長は、当社が人材会社などと連携して適した人材を公募し、当社だけでなく、送り込む会社の従業員にも面接してもらって決めます。旧社長と後継社長の業務引き継ぎが大切なので、時間はかかりますが、そこもしっかり取り組んでいく。後継社長は会社が軌道に乗ったら売却することを前提に、売却後も基本的にそのまま社長を続けてもらいます。経営は後継社長に任せっきりではなく、金融機関からの資金調達も含めて、私たちがいろいろとサポートします。当社と後継社長とが二人三脚で取り組んでいくということです。現在までに、経営を軌道に乗せて収益を伸ばし、売却に至ったのが1社で、15社を子会社にして取り組み中です。これら会社の売上高合計は82億円ぐらい、銀行からの借り入れもあります。子会社の業種は工事関係が多いですね。この業界は需要はあるのに人手不足で業績が伸ばせないという状況です。

土俵を中小企業に定める

 私は広島県福山市の出身で、立命館大学では生命科学系の学部でした。在学中にカナダに留学して、ビジネスの世界に進みたいと思い、卒業してソフトバンクに入社し、そこで国内外のベンチャー企業への投資業務を担当しました。それを契機に、中小企業という土俵で投資の仕事をしてみたいと思い、同社を退職。コンサルタント会社や中小企業の投資関連会社などでスキルを磨き、2021年にこの会社を立ち上げました。資金調達は大変でした。実績もないわけですから。銀行は50〜60行ぐらい巡りましたかね。そのうち理解していただくところが見つかりました。

 日本に存在する中小企業は約357万社といわれ、その中には優れた企業がたくさんある。しかし、その経営者のうち210万人が60歳以上とみています。廃業の危機を少しでも回避できるようにしていければと考えています。

====================

企業概要

事業内容:中小企業への投資業務

本社所在地:東京都中央区

設立:2021年3月

資本金:450万円

従業員数:16人

====================

■人物略歴

なかつか・のぶひと
 1988年広島県生まれ。2013年立命館大学卒業、ソフトバンク入社。デロイトトーマツ、ACAなどを経て、21年にNYC設立。37歳。

====================

週刊エコノミスト2026年2月24日・3月3日合併号掲載

挑戦者2026 中塚庸仁 NYC代表取締役社長 中小企業の廃業危機を防ぐ