第52回(2011年度)エコノミスト賞

『地方税改革の経済学』

2013.09.12

エコノミスト賞選考委員会は、「第52回(2011年度)エコノミスト賞」の受賞作に佐藤主光著『地方税改革の経済学』(日本経済新聞出版社)を選んだ。授賞式は4月23日に開催予定。佐藤氏には賞金100万円と賞状、記念品、出版元の日本経済新聞出版社に賞状と記念品を贈る。

佐藤主光(さとう・もとひろ)一橋大学大学院経済学研究科・政策大学院教授

1969年生まれ。一橋大学経済学部卒業。同大学経済学研究科修士課程、博士課程修了。クイーンズ大学大学院(カナダ)経済学研究科博士課程修了(Ph.D.取得)。一橋大学経済学研究科講師、助教授、准教授などを歴任。専門は財政学。共著書に『地方財政論入門』(新世社)、『地方交付税の経済学』(有斐閣)、『震災復興』(日本評論社)などがある。

 対象作品は11年1〜12月に刊行された著書・論文。有識者・読者アンケートや主要出版社の推薦作品を踏まえ、選考委員会で審査を行った。候補作は受賞作のほかに翁邦雄『ポスト・マネタリズムの金融政策』(日本経済新聞出版社)、櫻井宏二郎『市場の力と日本の労働経済──技術進歩、グローバル化と格差』(東京大学出版会)の3作に絞られた。ハイレベルな選考が展開されるなか、「地方税に焦点を当て、経済学の手法を持ち込んだ新しい分析」(奥野正寛委員長)と、受賞作に各選考委員の高い評価が集まった。

 近年、タレントや元国会議員出身の首長が増え、地方分権論議にスポットが当たることが増えている。本書は、そこで最も不可欠な地方税について、経済学の視点から切り込んだ力作。地方税の複雑な制度をわかりやすく解説している点も魅力だ。 エコノミスト賞は、1960年に創設。日本経済および世界経済について、実証的・理論的分析に優れた作品に授与される。歴代受賞者からは多くの有為な人材を送り出し「経済論壇の芥川賞」と称される。


◇エコノミスト賞選考委員

・委員長 奥野正寛(流通経済大学教授)

・委 員 伊藤邦雄(一橋大学教授)/井堀利宏(東京大学教授)/小川一夫(大阪大学教授)/吉野直行(慶応義塾大学教授)