未病者の「健幸度」を可視化
ソーシャル・ヘルスケア・デザイン代表取締役CEO 亀ヶ谷正信 2026.03.02
脳のメカニズム研究に基づくサービスで、個人と企業に最高の状態をもたらす。(聞き手=北條一浩・編集部)
「ウェルビーイング」という言葉があります。これは、WHO(世界保健機関)の定義では、「健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態」(公益社団法人日本WHO協会)のこと。当社はウェルビーイングの安定的確保こそがこれからの戦略と考え、体が健康なだけでなく毎日が幸福であることを掛け合わせ、ウェルビーイングを「健幸」と翻訳しています。そして健幸を目指した経営支援プログラムを開発・提供しています。
当社開発の「MOTHER-H」は、一人ひとりのアンケート情報から健幸度を評価し、今後の意思決定を支援するシステムで、特許を取得しています。個人での利用もできますが、会社員に活用することで組織の環境改善や生産性向上に役立ちます。会社としては、大和ライフネクストやIHIなど十数社と取引実績があります。
「MOTHER-H」は、厚生労働省「健康日本21」推進室長を務めた西根英一氏をはじめ、ヘルスケアマーケティングや行動心理学などさまざまな分野の専門家の知見を動員したシステムで、分析された判定結果は、当人が自覚できていないような問題点などを、具体的な数値や図解などで「見える」化します。
システムの適用に際しては、ストレスチェック、健幸度測定、研修、コンサルタントと4項目あり、組み合わせで価格は変わりますが、目安として10万~40万円ほどになります。
システム構築の過程で依拠したのが脳科学です。脳のメカニズム研究で分かったのが、人が慢性的なストレスで疲れるのは、正しくない脳の使い方が原因だということです。脳は思考・感情・意識の三つが投射されて動きますが、思考だけに頼ったり、感情の高まりを抑制できないと肉体的・精神的・社会的な健康のバランスが崩れ、組織の中で独善性や孤立に陥るなど人間関係の悪化につながっていきます。

離職率半減の効果も
私の父は神奈川県内に80店舗以上のドラッグストア・チェーンを展開する経営者で、私も店舗開発部長として長く働きました。もともと独立志向だった私は、病気になる前の未病という状態の人々の幸せにつながる事業をしたいと考え、45歳で起業を決心しました。
現在は開発したシステムの運用のほか、セミナーや研修を通じてウェルビーイング概念の普及と企業支援に努めています。まずは基本料5万円+1人当たり100円(税別)の格安で「やってよかったストレスチェック」を受けてもらい、ストレスの根本原因が脳の使い方にあることを実感できたら、脳の使い方を研修で学んでいただきます。さらに経営に活用するという方向が出れば、個々の社員の健幸度調査に移ります。
実際、滋賀県の物流企業、手原産業倉庫では、30%あった離職率が健幸度調査の導入後、15%に半減しました。黒字倒産が増える中、今後ますます重要になってくる戦略だと思っています。個人にも企業にも活用してもらえる普及活動をさらに充実させたいと考えています。
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企業概要
事業内容:ヘルスケア関連製品・サービスの企画・製造・販売およびコンサルタント活動
本社所在地:横浜市
設立:2018年1月
資本金:1000万円
従業員数:4人
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■人物略歴
かめがや・まさのぶ
1972年神奈川県生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、三井信託銀行(現・三井住友信託銀行)に入行。97年に父親の経営するドラッグストア・チェーンのカメガヤに入社、現場の店舗に7年、店舗開発に14年携わる。2018年にソーシャル・ヘルスケア・デザインを設立し、代表取締役CEOに就任。
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週刊エコノミスト2026年3月10・17日合併号掲載
亀ヶ谷正信 ソーシャル・ヘルスケア・デザイン代表取締役CEO 未病者の「健幸度」を可視化
