いまや動画製作に欠かせない音楽素材。その数はなんと77万点!

オーディオストック社長 西尾周一郎 2021.12.20

西尾周一郎 オーディオストック社長 77万点の音楽素材を販売

 ユーチューブなどの動画制作では、いまや音や音楽の効果的な利用が欠かせない。イメージに合った音や音楽が見つかるのが、オーディオストックのサービスだ。

(聞き手=和田肇・編集部)

音や音楽はスマートフォンやタブレットから手軽にダウンロードできる オーディオストック提供

 動画を制作する人たち向けに、楽曲やBGM、効果音、ボイスナレーションなどの音素材をウェブサイトで販売しています。音や音楽のストック数は、現在、約77万あります。(挑戦者2022)

 作曲家や演奏家には、自分が作った音・音楽(録音データ)を当社に登録申請してもらい、当社で品質や著作権などの権利関係の審査をした後、サイト上で販売します。著作権は基本的に作曲、音を作った人に帰属します。当社はその音・音楽を販売し、販売収入の約半分を音・音楽を作った人に還元したうえで、残りを当社の収益としています。

 音・音楽を買う利用者には、「単品購入」か「定額制」のどちらかを選んでもらい、購入したい音・音楽を当社のサイトからダウンロードします。単品購入の場合は、効果音・ボイスナレーションが550円、BGMは1100円以上、歌が3300円以上(いずれも税込み)で、定額制はダウンロード制限なしなどの各種メニューごとに、月々550円、2200円、2万2000円などのコースがあります。

 利用者はテレビ・ラジオの放送局、CMを制作する広告代理店、映像制作会社、一般企業の広報部などのほか、最近はユーチューブなど、動画を制作する個人やグループなどが急激に増えています。ユーチューブ動画の制作では、いくら質の高い動画を作っても、音・音楽がしっかりしていないと、安っぽい印象を与えてしまいます。そこで、著作権が安心で手ごろな価格の当社のサービスがニーズにマッチしたのだと思います。

 利用者のアカウント数は、2017年は約1万8000だったのが、21年は10万を超えました。当社に音・音楽を提供(登録)してくれる人も2万人・組を超えています。新型コロナウイルス禍の影響からか、演奏家の登録も増えています。

音楽家の道を断念

 私は4歳から音楽を習い始めました。音楽大学に行きたかったのですが、親に反対され、地元の岡山大学に進学。大学の情報工学科に入り、インターネット上で作曲コンテストの企画などをしていました。これがすごく楽しくて、自分で音楽を作るより音楽を作る人たち向けに事業をしたいと、学生最後の年の07年に今の会社を設立しました。

 当初は自治体から受注した地域の観光応援ソングなどを、インターネット上で募集する仕事をしていましたが、スポンサーを探すのが大変でやめてしまいました。ただ、その過程で1万人ほどの作曲家や音楽クリエーターとのネットワークができ、これを生かせないかと始めたのが、現在の音・音楽の販売サービスです。

 今後は海外市場への進出に力を入れたいと思っています。現在の海外売上比率はまだ数%程度ですが、日本は欧米に比べてアマチュア音楽家の層が厚く、レベルが非常に高いのです。そのため、海外で日本の音楽に対するニーズが急速に高まっています。これからは、日本の音楽クリエーターたちをどんどん海外市場に出していきたいですね。


企業概要

事業内容:楽曲・効果音などの音素材の販売

本社所在地:岡山市

設立:2007年10月

資本金:4億3740万円

従業員数:34人


 ■人物略歴

にしお・しゅういちろう

 1982年岡山県生まれ。岡山大学在学中の2007年にクレオフーガ設立。当初は自治体などの委託を受け、作曲コンテスト事業を展開。13年から音・音楽素材の販売事業を始める。20年7月にオーディオストックに社名変更。39歳。