テクノロジーで女性の健康支援

fermata CEO 杉本亜美奈 2024.03.11

 国内外のプロダクトやサービスをつないで市場を拡大、女性の健康を支援する。

(聞き手=北條一浩・編集部)

 フェムテック(Femtech)という概念が日本でもだいぶ知られるようになってきました。FemaleとTechnologyを掛けた言葉で、女性の健康課題を、テクノロジーで解決しようとするムーブメントおよびその製品、サービスを意味します。

 今ちょうど1年半ぶりの「Femtech Fes」(2月9~11日開催)の時期で、世界23カ国と5地域からプロダクトやサービスが集結し、過去最多の5000人以上の来場者でにぎわいました。2019年9月に有志で始めたフェスでしたが、その最初のフェスは入場料2500円(現在は無料)にもかかわらず来てくれる女性たちの熱気がすごくて、「これは日本でもニーズがある!」と確信し、翌10月にはもう会社を立ち上げていました。

 弊社はいま、世界中のフェムテック企業とのコネクションを活用しながら、日本・アジアの企業に対してコンサルティングとライセンス事業を手がけています。

 生理や妊娠、そのほか心身の悩みを抱える多くの女性に届けるために、ただ輸入するだけではなく、日本の文化や制度なども考慮しながら、どこにどんなニーズがあるか、企業と一緒に事業を作り、流通について考える仕事をしています。

 私は10歳ごろから高校入学前まで、タンザニアやザンビアなど、アフリカで育ちました。そしてイギリスの高校を卒業した後は医師を志し、ドイツの大学で生化学を学びました。ところがやがて、医学部よりも公衆衛生の道のほうが自分には向いていると考えるようになったんです。

 演劇にたとえるなら、ステージに立っているのは医者や看護師です。公衆衛生は薬を国民に届けるためにどれくらい保険でカバーするかを考えるような、いわば裏方の仕事です。その意味では、女性の健康を支援する製品がもっと広く表舞台に出て活用されるように、さまざまな業界の人々をつなげ、土壌を地道に作り、その土壌の上に市場ができるように努力している弊社の事業もまた裏方だと思っています。

性別を超えたニーズにも対応

 今後、事業開発の意思決定に多様な人材が携わるようになれば、多くの製品の設計やデザインは変わるはずです。

 トイレなら、女性にはもう少し足が高く上がるようなデザインにしたほうが、便秘には有効だといわれています。妊婦さんに合わせるとしたら、さらに変わっていくでしょう。でも現状では、やっぱり男性の体に向くようにできているんです。

 私たちはいま、女性の健康に特化した製品に注力していますが、フェムテックについては男性にもぜひ理解を共有してほしいと思っています。実際、不妊の原因が男性側にあることが多いことも分かってきています。

 こうした性別を超えた潜在的なヘルスケアニーズを掘り起こし、市場化する仕組みが作れたら面白い! 今後はその方向にもチャレンジしたいと考えています。

====================

企業概要

事業内容:女性の体の悩みを解決する医療機器や美容品をめぐるコンサルティングおよびライセンス事業

本社所在地:東京都港区

設立:2019年10月

資本金:非公開

従業員数:24人

====================

 ■人物略歴

すぎもと・あみな

 1988年千葉県生まれ。少女期をタンザニアをはじめアフリカで過ごす。高校はイギリス、ドイツの大学では医学を学び、帰国後に東京大学修士号を取得。公衆衛生博士。日本におけるフェムテック認知拡大の功労者として「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2024」を受賞。

====================

週刊エコノミスト2024年3月19・26日合併号掲載

杉本亜美奈 fermata CEO テクノロジーで女性の健康支援