AIアプリで英会話レッスン

スピークバディ代表取締役CEO 立石剛史 2025.02.03

 外資系企業で英会話に苦労した経験をもとに、個性豊かなキャラクターが、いつでもどこでも 対応してくれるAI英会話アプリを開発。対人学習にはない可能性を秘める。(聞き手=内山勢・地域ジャーナリスト)

「スピークバディ」は、最新のAI技術と音声認識技術を使い、バーチャル(仮想)キャラクター(AIバディ)と英会話をする学習サービスです。他の英会話アプリと違うのは、第2言語習得理論とAIを組み合わせて開発されているということです。

 ユーザーは入会時にレベルチェックテストを行い、CEFR-J(セファールジェイ、欧州の言語熟達度基準を日本向けに細分化した基準)に基づいて10段階のレベルに割り振られ、好みの学習コースを選んでもらいます。1日15分で1レッスンが基本の設定ですが、それ以上学ぶこともできます。ただ、分散学習の方が記憶に定着するという学習理論があります。発話量をもとにした1週間単位のランキングも(仮名で)確認できるので、学習の励みになります。

 AIバディはそれぞれ出身地や職業、個性を持つ魅力的な40人のキャラクターがそろっています。ユーザーはこの感情表現豊かなバディとストーリー仕立ての1000を超すレッスンを通して、体系的に発音やフレーズ、イディオムなどを学んでいきます。楽しいからこそ続けられるというコンセプトのもと、ゲーム感覚でモチベーションを維持しながら学習ができます。

 我々は英会話を学ぶ上で四つの「壁」があると考えています。場所・費用・学習効率・心理的不安の四つです。この四つの壁をスピークバディは解決しています。対人ですと教室や喫茶店などに行かなければなりませんが、AI英会話アプリでは、いつでもどこでも「スキマ時間」に練習が可能です。

 費用は月額3300円、年間プランで約2万3800円(月当たり1983円)です。学習効率は対人では精度に限界がありますが、スピークバディではAIが学習履歴や発話内容を分析し、ユーザーのレベルや学習傾向に沿ってカスタマイズしたフィードバックを提供しています。

 四つ目の心理的不安は対人ならではの悩みです。人前で英語を話すことに緊張しがちだった私としては、AIバディだと気をつかう必要がないのは大きなメリットだと思います。

「ドラえもん」を目指した

 英語は文法につまずき中学1年で挫折してしまいました。外資系銀行の内定時はTOEIC280点。大学時代に公認会計士の2次試験に合格していたので猛勉強すれば英語力も上がるだろうと、睡眠学習をやったり、ゲーム機で英会話ソフトを試したり、個人レッスンも続けましたが、業務上必要な英語レベルに達するのに非常に苦労しました。『自宅にいながら英会話ができるドラえもんがいたらいいな』と思ったことが、現在のAI英会話アプリ開発のヒントにつながっています。当社のアプリを含め英語学習にトータル5000時間を費やしたでしょうか。いまはTOEIC満点・英検1級です。

 インバウンド(訪日外国人)が急増しているため、法人向けではホテルや店舗での接客用の英語コンテンツを作ってほしいという要望があり、現在開発に取り組んでいます。今年は東南アジアを中心に世界市場を拡大していきたいと考えています。

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企業概要

事業内容:日本発のAI英会話学習アプリ「スピークバディ」を開発、個人・法人向けに提供。個人ユーザー約400万人、法人導入100社以上の実績を持つ

本社所在地:東京都中央区

設立:2013年5月

資本金:1億円(資本準備金を含む)

従業員数:49人

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 ■人物略歴

たていし・つよし
 1983年東京都生まれ。2005年慶応義塾大学商学部卒業。在学中に公認会計士2次試験当時最年少合格。同年シティグループ証券(旧日興シティグループ証券)投資銀行部門入社。09年SMBC日興証券へ部門ごと売却され、その後香港駐在。12年8月同社退職。2013年5月appArray(現スピークバディ)設立。

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週刊エコノミスト2025年2月11・18日合併号掲載

立石剛史 スピークバディ代表取締役CEO AIアプリで英会話レッスン