保育に寄り添い、未来を創る

ユニファ代表取締役CEO 土岐泰之 2026.02.09

 子どもと向き合う心の余裕と時間を生み出したい──。保育園・幼稚園・こども園のICT化を支援するサービス「ルクミー」を通じ、保育現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)化に取り組む。(聞き手=永野原梨香・ライター)

 ルクミーは、保育者と保護者の連絡のやり取り、園からのお便りの送受信、園での様子を撮影した写真の送信や閲覧・購入、園児の登降園の打刻や健診記録管理、バス位置情報のチェックなどができるサービス(月額は税抜き5000円〜)で、保育者は管理画面から、保護者はスマホのアプリから操作します。

 保育者の業務負担を軽減し、心と時間のゆとりを持って子どもたちと接し、やりがいと保育の質の向上を支援。保育者の離職率の低下と給料アップを可能にし、なり手を増やすという好循環を生み出していきたい。ルクミーは、「Look at me(私を見て)」を意味しています。

 導入園からは、「園児と向き合う時間が増え、保育の質も高まった」「やりがいがアップした」という声が多く、なかには、業務時間が導入前後で約65%削減された園もあります。現在の利用数は累計で2万件超。2025年7月、こども家庭庁が推進する保育ICTラボ事業において、全国五つの自治体と保育施設で採択されました。

 13年の創業時、まず提供した機能は、「ルクミーフォト」でした。保育者の方々が写真を管理画面上にアップロードすると、クラスごとのフォルダーに対象写真が自動的に分類され、保護者がアプリ上から閲覧・購入できる機能です。

 24年にはMIXIと資本業務提携契約を締結し、MIXIの子どもの写真・動画共有アプリ「家族アルバム みてね(以下、みてね)」とサービスを連携。ルクミーフォトで保護者が購入した写真を祖父母や親せきの方々が「みてね」で自動的に閲覧できるようになりました。25年には名札で個人情報が分かったり、プライベートゾーンが見えていたりする写真をAI(人工知能)でチェック・選別できるよう改良しました。

 最近は、「ルクミー午睡チェック」への関心も高まっています。これはお昼寝時、直径4.54センチメートルほどの丸いセンサーを園児の肌着に取り付けると、どの子がどの向きで寝ているか体の傾きが検知され、専用アプリの管理画面に表示される機能。一定時間うつぶせになったり、体動が止まったりするとアラート音が管理画面から鳴り、異常を知らせます。

社会インフラとしての可能性も

 ゆくゆくは、ルクミーを新しい社会インフラにしたいと考えています。写真データをクラウド上などに保存できる仕組みを作れば、子どもたちの思い出になる。健康データからは成長状況の把握ができ、日々の連絡などからは、子どもの好きなことや得意なことが把握できる。このようなデータを小学校につなげる仕組みを作れば、「小1の壁」解消や、不登校予防にも貢献できるでしょう。

 そのための一歩の一つが、「すくすくレポート」です。これは、日々の園児の写真や記録をもとに、興味関心事や食事時の様子をもとに自動的にリポートが作成されるという機能です。

 小学校をはじめ、さまざまな機関にデータをつなげていくことは難しい部分もありますが、多くの人と、子どもたちのためにという思いで一緒に動くことが大事だろうと思います。

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企業概要

事業内容:保育施設向け総合ICTサービス「ルクミー」の企画、開発、運営。「スマート保育園・スマート幼稚園・スマートこども園」構想の推進・展開。保育関連テクノロジーの研究開発

本社所在地:東京都千代田区

設立:2013年5月

資本金:8億7486万円(資本準備金含む、25年5月時点)

従業員数:230人(派遣スタッフ・パートなど含む、25年6月時点)

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■人物略歴

とき・やすゆき
 1980年、北九州市出身。2003年3月、九州大学経済学部卒業。同年4月、住友商事に入社し、スタートアップへの投資及び事業開発支援を担当。その後、経営コンサルティングファームのローランドベルガー、デロイトトーマツで、経営戦略・組織戦略策定・実行支援に従事。13年、ユニファ創業。同社は17年、世界最大級のスタートアップコンテスト「Startup World Cup 2017」で優勝。25年、経済産業省主催の「日本スタートアップ大賞2025」で審査委員会特別賞受賞。

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週刊エコノミスト2026年2月17日号掲載

土岐泰之 ユニファ代表取締役CEO 保育に寄り添い、未来を創る