通信サポート生の情熱育む

RePlayce 代表取締役CEO 山本将裕 2025.12.15

 NTTドコモからスピンアウトし、中高生向けキャリア探究オンラインサービス「はたらく部」を設立。さらに、通信制サポート校「HR高等学院」を2025年4月開校、不登校などの経験を持つ生徒たちが自由に学べる場を支援する。(聞き手=内山勢・地域ジャーナリスト)

 サポート校は、通信制高校に通う生徒が高校卒業資格をスムーズに取得できるよう支援を行う教育機関で、大手では家庭教師派遣のトライのトライ式高等学院が有名です。当社が運営するHR高等学院は、人材開発と教育機能の垣根をなくしたいと考え、HRは「Human Resource(ヒューマンリソース)」と、将来ポジティブに社会で羽ばたく人になってほしいとの思いの「HataRaku」の意味を込めています。既存の教育システムの枠を超えて、「日本でいちばん自由で面白く、成長につながる学びの場」を目指しています。

 午前は基礎教科の学習を行い、午後は教養科目としてプロジェクト型学習やキャリア形成の経験に時間を割いています。いわゆる課題解決型のプログラムです。具体的には、ビジネス&アントレプレナーシップ、テクノロジー、クリエーティブ、ソーシャルの四つの領域から興味のあるテーマを見つけ、実践的に学ぶことができます。さらに、海外に興味のある生徒向けに、実践英語学習や海外越境プログラム(視察や留学)もあります。

 2025年4月の開校以来、現在約80人以上の生徒が学んでいます。通学とオンラインの頻度によってコースが分かれていて、通学は週1、2、5日です。約半数が週5日のフル通学です。オンラインではバーチャル空間の教室に、生徒のアバター(分身)が自由に出入りし、友達と会話したりグループワークに取り組んだりします。海外から参加している子もいます。

「はたらく部」がきっかけ

 NTT東日本を退社しフリーランスを経験後、縁があってNTTドコモに途中入社し、社内起業家を育成する部署に配属されました。そんなときに、知り合いの都立高校教諭から「キャリア教育が遅れている」と相談を受けました。それで、22年4月に「はたらく部」という、中高校生を対象に放課後の時間にキャリア探究型のオンラインスクールを作りました。全国から生徒が集まり1、2時間でも子どもたちが変わっていくのがわかりましたが、より教育界にインパクトを与えたいと、「はたらく部」で培ったコンテンツを生かし、HR高等学院を開校しました。

 授業では、毎週その世界のトップランナーのゲストスピーカーを招いて講義してもらっています。また、企業と連携して課題に挑む、PBL(プロジェクトベースドラーニング、問題解決型学習)にも力を入れています。子どもたちが「将来こんな仕事をしたい」「こんな人になりたい」というロールモデルを持つことは大事なことです。「中学では授業はほとんど寝ていました」という女の子が、「1学期は一度も寝ませんでした」と笑顔で言っていました。

 26年4月は渋谷と横浜、成城/仙川キャンパスを開校し、約200人募集します。将来的には1万人規模を目指します。起業家育成の経験を生かし、主体性をもった学びの環境を提供することで、将来の日本社会を支え、自分の人生を謳歌(おうか)する人材がどんどん育っていくと確信しています。僕らはそんな新しい学校を創っていきたいのです。

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企業概要

事業内容:中高生向けキャリア探究サービス「はたらく部」運営、通信制高校サポート校HR高等学院の運営、社会人講師派遣、オンラインスクール事業運営など

本社所在地:東京都渋谷区

設立:2024年1月

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 ■人物略歴 

やまもと・まさひろ
 1986年生まれ。2010年中央大学経済学部卒業後、NTT東日本入社。その後退社して新規事業創出に取り組んだのち、20年NTTドコモ入社。22年「はたらく部」リリース。23年キャリアオーナーシップ経営AWARD2023優秀賞を受賞。24年RePlayceを創業し、25年HR高等学院開校。

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週刊エコノミスト2025年12月23日号掲載

山本将裕 RePlayce 代表取締役CEO 通信サポート生の情熱育む