施術回数低減の「通わせない整体」
理学ボディ代表取締役 木城拓也 2025.09.16
体を整える高度な専門職「理学療法士」のチカラで、健康を世界にもたらす。(聞き手=北條一浩・編集部)
「筋膜整体」と「パーソナルピラティス」という二つの事業を手掛けています。全身にある筋膜のゆがみやねじれを改善する「筋膜リリース」という技術がイタリアのドクターによって生み出され、それをベースに行う整体が筋膜整体です。私がこれまで試したあらゆる整体方法の中で筋膜リリースが最も症状が改善したので、私自身、ドクターが始めたコースを修了して完全に技術を習得しています。
われわれの筋膜整体は1回当たりの施術が90分1万8000円で、正直高額だと思います。むろんこれには理由があります。多くの場合、整体は初回を安く、その後は回数券を発行し、10回、20回と通ってもらうパターンが主流です。しかしこちらは高額な代わりに、基本3回以内で良くなってもらうことをめざし、「通わせない整体」をモットーにしています。
さらに大きな特徴としては、リハビリテーションに関する専門職である「理学療法士」という国家資格を持ったメンバーが実際の施術を担当している点が挙げられます。
もう一つのパーソナルピラティスは、エクササイズをしながら全身の筋肉を整えるものです。このところ女性を中心に空前のピラティスブームが起きていますが、それはインストラクターが前に出て、参加者全員が同じ運動をまねるグループレッスンです。ところが体というのは人によって当然違うので、例えば猫背の人と腰が反り気味の人では逆の動きになり、同じ動きをしても、一方にしか効果が出ないんです。
そこでわれわれはもっと個別に、その人の体を改善できるピラティスを、やはり理学療法士の知見と経験を動員して行っています。
筋膜整体は国内に100店舗、パーソナルピラティスのスタジオは国内のほか、シンガポール、インドネシア、マレーシア、オーストラリアに出店し、合計で80店舗以上を展開しています。
「理学療法士」を知ってほしい
私は高校時代に部活で野球をしているうちにヘルニアになり、試合に出られない体になってしまいました。整骨院や整形外科などいろいろ行きましたが改善されず、その流れの中で理学療法士という仕事があることを知り、私のようにくやしい思いをする人を少しでも救いたいという気持ちから、自分もその道に進みたいと考えるようになりました。
23歳の時に理学療法士の試験に合格し、その後、プロスポーツ選手なども通う一流の整形外科クリニックに就職して経験を積みました。副業としてジムでパーソナルトレーナーをやらせてもらった時期もあります。そうした経験を重ねる中で「自分の店を持ちたい」という思いが湧き、2018年に会社を立ち上げました。
理学ボディという社名には、理学療法士という存在を広く知ってほしいという気持ちが込められています。現在の課題は、この存在の認知ともう一つ、海外の店舗数を拡大していくこと。目標は大きく、1000店舗をめざして、理学療法士の技術力で世界の人々の健康と幸福に寄与する努力を続けていきたいと思います。
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企業概要
事業内容:筋膜整体およびピラティススタジオの運営
本社所在地:東京都渋谷区
設立:2018年7月
資本金:100万円
従業員数:350人
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■人物略歴
きしろ・たくや
1989年東京都生まれ。東都リハビリテーション学院を卒業後、2012年に理学療法士の国家試験に合格。都内のスポーツ整形外科クリニックでの勤務などを経て17年10月に「青山筋膜整体 理学BODY1号店」を表参道に出店。翌18年7月に株式会社理学ボディを設立し、代表取締役に就任した。
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週刊エコノミスト2025年9月23日・30日合併号掲載
木城拓也 理学ボディ代表取締役 施術回数低減の「通わせない整体」