自由参加できる新たな学びの場を

SOZOW 小助川将 2023.08.07

 受け身の姿勢とは無縁。子供たちが本来持っている自主性と創造力を最大限に引き出す。

(聞き手=北條一浩・編集部)

 少子化が懸念されて久しいですが、加えて近年は子供たちの不登校率が毎年上昇しています。こうした現状の中で私たちは、オンラインを活用した新しい学びの場を提供しています。

 学びの場は2種類あり、一つ目は「SOZOW(ソーゾウ) PARK」という小学3年生~中学3年生が対象のオンラインの習い事です。これからの時代にますます必要とされるデジタル創造力を養う「デジタルクリエイティブコース」や、自分のやりたいことを実現するためにお金や経済活動について学ぶ「ビジネス&お金マスターコース」など五つのコースを設けています。

 もう一つはフリースクールの「SOZOW SCHOOL」。スクールといっても先生も時間割もなく、子供たちの「好き」を軸にメンター(助言者)と相談して何をするか決めていきます。ITエンジニアからプログラミングを学ぶ、プロのライターから創作を学ぶなどいろいろあり、作品発表の機会もあります。

「SOZOW PARK」は現実の学校に行った子供たちが放課後に参加することが多く、「SOZOW SCHOOL」は平日10:00〜16:00を中心に開いているので、こちらは学校の学びが合わない子が中心になります。

 オンライン参加で自信を取り戻し、また登校するようになる子がいたり、午前中は学校に行って給食を食べてからこちらに顔を出す子がいたりする。このあたりの参加スタイルの自由さも、この事業の面白さだと自負しています。

正解のない問いをたくさん出す

 事業を始めるきっかけの一つに、私自身が娘の不登校に悩んだ経験がありました。日本の学校教育には長い歴史があり、そうすぐに変わることはないでしょうから、自分たちが民間で新たな選択肢を作るしかないと考えたんです。

 当初は東京・池袋のサンシャインシティなどを借り、リアルなイベントを展開していましたが、コロナになったのをきっかけに、オンラインに切り替えました。オンラインでのスタートは2021年1月で、当初は有料会員が50人程度でしたが、2年半のあいだにどんどん増え、今は両サービス合わせて利用者は日本全国に1400人ほどです(6月末現在)。

 問題があって正解がある。先生がいてずっと話を聞いている。その状況では、自ら積極的に何かをしたいと考える子は出てきません。私たちは正解のない問いをたくさん出していって、一人ひとりが自分で想像・創造し、みんなでワクワクしながら一緒に考える環境を提供しています。そこで輝く創造力こそが未来を作っていくのだと思います。

 私たちはこれからさらにグローバル展開を考えていますが、自らの頭と体、心で創意工夫し、学ぶ子供たち同士がオンラインでどんどん対話するようになれば、いずれ戦争なんてなくなると、本気でそう信じています。

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企業概要

事業内容:子供たちの好奇心を刺激し、自主性を尊重したオンラインの習い事とオンラインのフリースクールを展開

本社所在地:東京都品川区

設立:2019年6月

資本金:1億円

従業員数:46人

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 ■人物略歴

こすけがわ・まさし

 1980年秋田県生まれ。慶応義塾大学商学部卒業後、経営コンサルティングファームを経てリクルートに入社。企業向けメンタルヘルスの新規事業開発などに従事。その後、娘の不登校を契機に入社したLITALICOで発達障害児教育などに従事し、2019年にSOZOWを創業。

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週刊エコノミスト2023年8月15・22日合併号掲載

小助川将 SOZOW代表取締役CEO 自由参加できる新たな学びの場を