研究に携わる人を支援する

RDサポート代表取締役 大澤裕樹 2022.06.27

 企業の研究職は人材流動が激しい。自らの経験から、食品や化粧品、バイオヘルスケア業界の研究職支援に特化した会社を立ち上げた。

(聞き手=和田肇・編集部)

 食品や化粧品、バイオヘルスケア業界に特化した研究開発支援や人材事業など主に五つの事業を行っています。

 一つ目は、研究スタッフの派遣事業です。これは品質管理や品質保証、商品開発などのスキルを持つ人材を、研究開発職スタッフとして派遣する事業。二つ目は、前述の業界のニーズに合ったキャリアを持つ人材の、正社員としての中途採用をサポートする事業です。この事業は研究開発職に限らず、営業職など幅広い職種が対象になります。

 三つ目は、同じく前述の業界の研究開発分野で専門的知見を持つ人材を、他社や他の団体が取り組む研究開発プロジェクトを支援するために業務委託として紹介する事業で、大手食品会社などに勤める研究職の人たちの副業を支援する事業と捉えてもらえばいいです。四つ目は、管理栄養士や栄養士の人材紹介・派遣事業。

 五つ目は、医薬品の臨床試験(治験)を行う医療機関の支援(SMO)と食品の安全性・有効性試験の支援(CRO)事業です。この事業は子会社「アイメックRD」として展開しています。食品分野では、話題になっている機能性表示食品の研究開発支援も行っています。当社に登録している研究職・専門職の人は約2万人。1000社以上の企業と取引があります。

 私は大学院に進んで研究者を目指していたのですが、企業における女性の研究職の状況を知りました。当時は、結婚や出産などを機に退職される人も多かったのですが、専門知識があるので、再び研究職で働くことを希望する人も多い。

健康意識は高まっています

企業のニーズは強いという RDサポート提供
企業のニーズは強いという RDサポート提供

 しかし、そんな希望がなかなかかなえられません。この状況を何とかできないかと思い、自分の研究にも関わりのあった、食品の研究職に特化した人材紹介・派遣の会社を立ち上げようと考えました。

 大学院を中退して、会社を立ち上げようとしたのですが、1998年当時はベンチャー企業を支援する制度もあまりなく、私も起業のことなど何も分からなかったので、最初はTシャツにジーパン姿で、銀行に相談に行っていました(笑)。

 当然、断られましたが、いろいろやっているうちに、銀行がお金を貸してくれることになり、どうにか会社を設立することができました。その後は、日本でも研究職の人材流動化が始まり、当社の事業も徐々に大きくなっていきました。

 私の中では「研究に携わる人を支援したい」という思いが常にあります。だから会社の事業も研究支援の一環としての人材紹介・派遣事業であり、臨床試験の支援、食品安全性・有効性事業もこれに関連しています。社名も「RDサポート」としました。支援する研究開発の目的と分野は、人々の健康、ヘルスケアです。

 新型コロナウイルス感染症の影響もあって、人々の健康に対する意識は、ますます高くなっています。この意識の変化は、当社の事業の追い風です。今後も今の事業をさらに充実させていきたいし、それだけでなく、新たな事業展開も考えていきたいですね。

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企業概要
事業内容:食品、化粧品、バイオ・ヘルスケア業界に特化した研究開発支援、人材紹介事業

本社所在地:東京都中央区

設立:2002年4月(創業1998年12月)

資本金:2510万円、資本準備金510万円(2022年6月時点)

従業員数:41人(2022年6月時点)

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 ■人物略歴

おおさわ・ひろき
 1973年東京都生まれ。98年千葉大学大学院自然科学研究科中退、同年有限会社アールアンドディーサポート設立。2002年株式会社アールアンドディーサポート(現RDサポート)に組織変更。48歳。