ラジコン販社がドローンで急成長
セキド代表取締役 大下貴之 2023.01.23ラジコン部品の販売会社が民生用ドローンに着目。時流に乗って事業は急拡大。ドローンの安全教育にも力を入れている。
(聞き手=和田肇・編集部)
ドローンの世界大手DJI社(本社・中国深圳)製品などの輸入販売のほか、ドローンの安全教育事業、受託調査事業、関連する機器やソフトの販売、コンサルティングなど、ドローンに関わるさまざまなサービスを行っています。東京虎ノ門と福岡博多の直営店ほか、横浜と博多にドローントレーニングセンターがあり、サービスを担うグループ会社を全国に6社展開しています。販売パートナーは300社になります。ドローンだけでなく、趣味のラジコン用部品の輸入販売も続けています。
ドローンは主に産業用、農業用、水中ドローンの三つに分かれ、産業用では、インフラ設備の点検や建物壁面などの非破壊検査、環境モニタリング、測量、空中写真撮影など、用途は多岐にわたります。農業用は、農薬の空中散布、生育モニタリング、害獣駆除支援、測量など。水中ドローンは、護岸工事、発電施設の給排水口点検、水中生物撮影、造船、漁業、養殖、ダイビング支援、救難救援など。このほか捜索、警備、人命救助などにも利用されています。納入先は企業、官公庁、報道機関、地方自治体、大学、エンターテインメントなどさまざまで、珍しい例としては、大学の芸術学部なども利用しています。
趣味のラジコンから出発
大学卒業後に外車のディーラーの仕事をした後に、アパレル会社のラジコン事業部に入社しました。ここでは趣味のラジコン用の部品販売などを行っていました。そのラジコン事業部が2012年5月に現在の「セキド」として独立したのですが、DJI社のラジコン部品も扱っていました。そうした関係で、12年11月にDJIの本社に行った時に、ドローンの試作機を見せてもらいました。私はドローンが空中に浮かんでいる光景を見た瞬間、「これだ」と思い、その場でDJI社と日本販売代理店の契約を結びました。DJI社のドローンの日本販売代理店契約は、当社が初めてだと思います。当時はドローンという言葉も耳慣れない頃でしたが、やがてドローンが私たちの生活になくてはならないものになると考えていました。
日本でドローンの販売を始めるに当たっては、何よりも「安全な運用が必須」を基本に据えました。以後、無料ドローン体験会やドローン講習会などを通じて、徐々にドローンの認知が進んでゆき、多くの企業や研究機関、官公庁などでの実績が広がっていきました。
今後は水中ドローンにも力を入れていきたいですね。また、私たちはドローンで得た遠隔無人操作の技術やノウハウを活用することにも取り組んでいます。例えば、既存の農業トラクターを改造して、自動運転(ただし、人は乗ってアクセルの操作をする必要がある)にすることも可能です。この方法だとGPSを使って、農地全面を非常に効率よく耕作することができます。
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企業概要
事業内容:産業用、農業用、水中ドローンの販売、教育、コンサルティング事業。ラジコンの部品販売事業
本社所在地:東京都港区
設立:2012年5月
資本金:8000万円
従業員数:45人
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■人物略歴
おおした・たかゆき
1982年生まれ、愛媛県出身。日本大学卒業後、自動車ディーラーを経てアパレル会社のラジコン事業部に入社。同部が2012年に「株式会社セキド」として独立。独立と同時に社長就任。同年、中国のドローンメーカーDJI(ドローン分野で世界大手)と日本で最初に正規代理店契約を締結。40歳。
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週刊エコノミスト2023年1月31日号掲載
大下貴之 セキド代表取締役 ラジコン販社がドローンで急成長